
最近一番身に着けている時計はスマートウォッチ「Google Pixel Watch」。他にもいろいろ時計を持っているのだけれど、通知が便利で結局こればかり使っている。
一方で、俺が腕時計にハマったのは小学生低学年の頃。新聞広告で腕時計に興味を持ち、誕生日に親に買ってもらったのがセイコーの時計。高校生の頃にはバイト代を貯めてオメガを購入した。そんな腕時計エリート(?)な俺の腕にGoogleの時計ってどうなのよ? Googleって検索エンジンのアレじゃん。そんな葛藤をずっと抱えていた。
そこで登場するのが、高級腕時計ブランド「タグ・ホイヤー」のスマートウォッチ「TAG Heuer Connected Calibre E5 40 mm (タグ・ホイヤー コネクテッド キャリバー E5)」 でございます。
タグ・ホイヤーのスマートウォッチを買った
狂気の231,000円(2025.11時点) スタートのスマートウォッチ

今回紹介するのはタグ・ホイヤーの時計。1860年創業、数々の俳優やモータースポーツ選手に愛され続けるスイスの名門ブランドだ。「メンズ腕時計ブランド」なんて検索すれば、だいたいトップ10には必ず入ってくる。
そんなタグ・ホイヤーが販売するスマートウォッチ「TAG Heuer Connected Calibre E5」の特徴は、俺が購入した最安モデル「40mmサイズ スティール製ラバーバンドモデル」で 231,000円 もする価格。
あのApple Watch Ultraすら余裕で超える高額プライス。流石スイスの高級時計ブランドである。たか~い。
値段については擁護不可

腕時計に興味ないと「時間を見るための道具に何十~何百万円と馬鹿じゃない?」と思われるかもだけど、全くそんなことはない。有名ブランドなら10年前に買った中古が当時と同じぐらいの値段で売れることだって珍しくないし、ロレックスなんて買った瞬間に勝者。
だがこれは別。スマホやPCと同じで、ディスプレイやチップセットは数年で陳腐化し、バッテリーも劣化する。そして最終的には使えなくなる一種の地雷。コスト面では最悪だ。この点は、購入した俺ですらフォローできない。
じゃあなんで買ったの? と聞かれれば答えは一つ。「タグ・ホイヤーだから」 だ。Googleの腕時計を着けててもなんかテンションが上がらないのだ。
やっぱり腕時計ブランドの時計を使いたい。でもスマートウォッチの便利さも捨てがたい。その折衷案が偉大なる腕時計メーカーであるタグ・ホイヤーというわけだ。(そもそもスマートウォッチを出してる腕時計メーカーが、タグ・ホイヤー以外ほぼなかったりもする)
オンライン限定パッケージデカ過ぎない?

さて、パッケージ開封から紹介。
公式オンライン限定パッケージなんだけど、立派というより「デカい・重い」という印象の方が強い。届いた時あまりのサイズにビビった。

これがロシア名産マトリョーシカかい?と思うほど、箱の中に箱。箱から箱を出す作業に少々うんざり。

ようやく本体とご対面。
オンライン配送だから包装はガッチリなのはいいが、数十万の商品に透明プチプチはちょっと…ね。せめてウレタンクッションとか、もう少し高級感ある梱包にしてほしい。

中身はこんな感じ。
ここまでの通り、パッケージには良い印象を持っていない。立派に見せるために「過剰に包む=高級」ではないと思う。
TAG Heuer Connected Calibre E5(40 mm)外観
まるで普通のクロノグラフ腕時計かのよう

本体。
E5には40mmと45mmの2サイズがあるが、俺が購入したのは40mm。
「クロノグラフ腕時計にディスプレイが付いた」感じで、Apple・Google・Samsungあたりのスマートウォッチよりも自然。まるで普通の腕時計だ。

ケースはステンレス製で、サテンとポリッシュ仕上げを使い分けた質感を持つ。
俺の撮影スキルとやる気のなさのせいで指紋がついたり、ホコリが付いたりで魅力8割減だが、実物はかなりカッコいい。
グラスボックスカレラのようなデザイン

前面はサファイアガラス。端が丸められており、内側の黒いベゼルが「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ TH20-00」通称グラスボックスに似た雰囲気を出している。好き。
なおスマートウォッチでは定番の防汚コーティングがされていないため触ると指紋が目立つ。コートは線傷が入ったり、剥がれて見た目悪くなったりするので、意図的に避けたのだと思う。何事も一長一短。
竜頭ボタンはスクロール操作ができて便利

クロノグラフ風プッシャーボタンと竜頭風ボタン。
タグ・ホイヤーのクレスト刻印入りの竜頭は、回転させることでスクロールさせることが出来る。俺的にスマートウォッチには必ず付けて欲しいボタンだ。
防水は50m(5気圧)まで対応

サイドにはスピーカー用の穴。
こんな大穴が空いているが、防水は50m(5気圧)まで対応。シャワーや大雨程度なら無問題。水泳は腕振りで圧力が加わるため少し怪しい。
ストラップは着脱楽々で社外品も付けられる

前作「E4」からの変更点として、ケースとバンドの隙間がなくなり、ラグと密着したデザインに。これは嬉しいポイント。

ストラップはラバー。他にもメタル・ファブリック・レザーの選択肢がある。
40mmモデルのラバーは一般的なピンバックル式を採用。ピン通し穴のスパンが狭く、締め付けを調整しやすいのが良い。
バンドはボタンでワンタッチ着脱可能

バンドはワンタッチ着脱式。ボタンを押すとバネ棒が収縮し、簡単に外せる。掃除もしやすいし、気分で付け替えも楽。
普通のバネ棒(幅20mm)が付く(自己責任)

普通のバネ棒(幅20mm)が使えるので、社外品も自己責任で装着可能だ。
バッテリー交換(有料)も出来る作り

背面はセンサー。4隅にプラスビスがあり、分解可能な構造っぽい。
サポートへの郵送または店舗持ち込みでバッテリー交換(有料)も対応してもらえる。
ケースサイズ「40mm」は細腕にも嬉しい

ケースサイズ40mm。細腕メンズ的には嬉しいサイズ感。
厚み約15mmとそこそこあるが、袖口で引っかかる感じは少ない。

重量はラバーバンド込みで「80g」。
スマートウォッチとしてはやや重め。機械式時計よりは軽いけど、ランニング用途だと気になる人もいそう。俺は気にならない。
文字盤は当然タグ・ホイヤーコレクションモチーフ

文字盤はディスプレイなので、タグ・ホイヤーラインナップをモチーフにしたデザインへ切替可能。
「ビジネスライクなスマートなスタイル」「超高額トゥールビヨンのロマンに身をゆだねる」「高級時計だと手を出しにくい派手色」にと、スイッチング出来るのはスマートウォッチならでは。どのような文字盤があるかはタグ・ホイヤー公式サイトで確認可能だ。
見た目は最高!スマートウォッチらしさが良い意味で少ない

見た目は満足。かっこいいとおもいました。
程良い重量感で腕元でギラつく姿は当にクロノグラフ時計そのもの。スマートウォッチなんだけど、何と言うか腕時計なのだ。やっぱり普通のスマートウォッチを身に着けるより、気分がアガる。
ただし50万円台の時計ほどではないし、スイス製ではない

ただしケースの仕上げは50万円以上のカレラやモナコほどではない。竜頭ボタンの切り込みが浅くて安っぽいとか、叩けばそれなりにツッコミどころはある。あくまでもタグ・ホイヤーの20万円台なりで、過剰な期待は禁物だ。
それと「SWISS MADE」ではなく「Made in China」だったりする。品質的には問題ないが、気になる人は多いかも。
TAG Heuer Connected Calibre E5(40 mm)性能
チップセットが発売時点で型落ちだったりする

| Connected Calibre E5 | Apple Watch 11 | Pixel Watch 4 | Galaxy Watch 8 | |
|---|---|---|---|---|
| サイズ(mm) | 40 | 41 | 41 | 40 |
| 本体重量(g) | 58(当ブログ測定) | 34.6 | 31.0 | 30.0 |
| ディスプレイ素材 | サファイアガラス | サファイアガラス | Corning Gorilla Glass 5 | サファイアガラス |
| ケース素材 | ステンレス | アルミニウムor チタニウム | アルミニウム | ステンレス |
| バッテリー容量(mAh) | 300 | 詳細なし | 325 | 325 |
| チップセット | Snapdragon 5100+ | S10チップ | Snapdragon W5 Gen 2 | Exynos W1000 |
| 防水 | 5気圧 | 5気圧 | 5気圧 | 5気圧 |
| OS | TAG Heuer OS | watchOS | Wear OS | Wear OS |
| 定価(2025.11時点) | 231,000円~ | 64,800円~ | 52,800円~ | 57,900円~ |
スマートウォッチとしての機能面に話を移そう。
上記が「Apple Watch 11」「Google Pixel Watch 4」「Samsung Galaxy Watch 8」(小型モデル)との比較だ。チップセットを除き凡そどっこいと言っていい。値段には触れるな。
チップセットは「Qualcomm Snapdragon 5100+」。
2022年後半のリリースされた「Snapdragon W5+ Gen 1」の事である。前モデル「E4」の搭載していた2020年リリース「Snapdragon Wear 4100+」よりは遥かに性能が高い。
一方2025現在Qualcomm社の最新チップセットはGoogle Pixel Watch 4に積んでいる「Snapdragon W5 Gen 2」である。Gen2のほうが少し動的性能が上で、省電力性も高くチップが小型なのだとか。つまり登場時点で周回遅れなのだ。多分開発しているうちに新型が出ちゃったパターンだ。
まぁチップよりも、実際にどう動くかが重要である。ということで次。
諸刃の剣独自OS「TAG Heuer OS」搭載

E5で大きく変わったのは「OS」。従来の「Google Wear OS」から独自の「TAG Heuer OS(Google AndroidOSをベースに独自チューンしたもの)」へ変更されたことだ。
| TAG Heuer OS | Google Wear OS | |
|---|---|---|
| 作成メーカー | TAG Heuer | |
| ベースOS | Google AndroidOS | Google AndroidOS |
| iPhone(iOS)連携 | ○ | △(新しいバージョンでは✕) |
| Androidスマートフォン連携 | ○ | ○ |
| 外部アプリインストール | ✕ | ○ |
なんかややこしいけれど、違いは上記。例えるなら同じカレールー(AndroidOS)使って、各自自由にカレー(時計用OS)を作ったみたいな感じだ。
iPhoneとの連携を維持したかったのと、Google依存からの脱却が目的だろう。高級時計メーカーとしては、富裕層が多いiPhone勢を切り捨てるわけにはいかないから当然とも言える。
[重要] 外部アプリインストール不可 -Google Play非搭載-
ただし引き換えにアプリストア「Google Play」が使えなくなった。つまり〝最初から入っているアプリ以外入れられない〟という、超弩級のデメリットを抱えている。要注意。
通話・通知・健康管理など基本は出来る

機能としては、通話音質は良好。通知関連はバッチリで、LINE・WhatsApp・Xなどサードアプリのメッセージも全部読める。ロボット掃除機が動かなくなった時も通知してくれた。
動画・音楽再生のコントロールも一応可能。健康管理系(心拍・歩数など)も一通り揃っている。睡眠ログは今冬対応で、今のところ使えないけれど、まぁ後で対応するなら目を瞑ってあげましょう。基本的なアクションは大丈夫だ。
アプリストアが使えない影響はデカい

一方メールの簡易返信は不可。マップアプリ連携なし、SuicaやGooglePayなど決済サービスも不可。時計からスマホの操作はほぼ無理。ウォッチフェイス・天気予報・カレンダーはプリインストールアプリのみだ。
画像のようにマップはよく使っていたから残念。Googleの箱庭から飛び出した影響はデカい。
ユーザーインターフェースは今一つだし、設定も少ない

UIは今ひとつだ。スクロール性に長けた竜頭ボタンがあるのにそれが活きていない。
Google/appleだと「竜頭でスクロール」→「タップ」で済むところ、1~3アクションぐらい多くなる。変にオリジナリティ出さず丸パクリで良かったのに。
クロノグラフ文字盤のスモールセコンドは飾り!

また独自OSだから色々自由にやれるはずなんだけれど、そのような技術はなかった模様。
最大の魅力であるタグ・ホイヤーの文字盤は、クロノグラフの文字盤にしてプッシャーを押しても起動しないため、秒針以外上を向いているだけの飾り。デカいのに動かないクロノ長針が悲しすぎる。
ストップウォッチアプリのリセットもタッチパネルを使うことになるから物凄い違和感だ。
前作と違い一応オリジナルOSなんだし、ここは頑張って。
独自ゴルフアプリが武器なのか?俺は使わない

ゴルフアプリは力を入れてるっぽいけど、俺は使わない。試しに開いたら地元のローカルコースも登録されていた辺り、マップ登録数は中々のものだと思うがアプリ評価は低めだ。
スマートウォッチ業界では「GARMIN」の方が好評っぽいし、集客の的になるほどのポテンシャルはないと思う。
現状不満はソコソコ -今後のアップデートに期待する-
一応発売後からそこそこの頻度でアップデートされており、若干改善してきてはいる。初日はマジ絶望のカクカク動作だった。
ただまだ全然使い難いっす。頑張れタグ・ホイヤー。
TAG Heuer Connected Calibre E5 バッテリー持ち
バッテリー持ちは普通 -1日は問題なし-

では「インターフェースやアプリがイマイチでも、バッテリー持ちが良ければ大逆転さ」って話にしたいんだけれど、バッテリー持ちは特別良くない。悪くもない。普通。
俺が使っていた「GoogleWearOS」搭載「Google Pixel Watch 3 41mm」と、同じ運用方法で、同じぐらいのバッテリー消費である。ディスプレイ光度最大・腕の傾きでディスプレイ点灯するハイパフォーマンスモードにして、睡眠時は省電力モードで、24時間後バッテリー残量40%前後。
タグ・ホイヤーの方が消費電力の多そうな文字盤だが、スタンバイ状態になるのも速いし、結局どっこいかな~という印象だ。「1日は余裕、使い方次第で2日持たない事もない」といった感じ。GPSを多用するマップアプリとかあれば、丸一日は苦しいかもだけれど、幸い?そういったアプリはない。
バッテリーが駄目だったら絶望的だったので、安心した。普通で良かった。良かった。
充電速度は1時間少々で必要十分

充電は速い。
空から満タンまで1時間少々。俺の運用だと40%前後で充電開始するから更に短くて一時間以内に済む。
お風呂入ってる前に充電開始して、寝る前には満タン。お陰様で睡眠ログも安心して取れる。…はず。(はよアップデートして)
充電台はUSB-C接続で置き時計のようになる

充電台はUSB-C接続で、本体とはマグネットでくっつく。また充電中はタグ・ホイヤークレストが光って、腕時計が置き時計風な感じになる。
接地面とテープとかでくっつけておかないと取り外し時台座ごと浮くのと、持ち運びでやや嵩張るのが難点。
あと別途購入するとお高い(2025.11時点15,400円)。プラスチック製の癖に…。そして社外品が存在しないのは言わずもがな。
TAG Heuer Connected 見た目は最高!その他は…
腕時計屋さんのスマートウォッチだなという印象

TAG Heuer OSだけが出来ることは「タグ・ホイヤー純正の文字盤」「タグ・ホイヤー独自ゴルフアプリ」が使えること2点。出来ないことは沢山。
俺にとっての最低限「時間・通話・通知・天気」はOK。やれると嬉しいこと「歩数計・睡眠ログ(予定)」も対応。でも「マップ表示」「メール簡易返信」「イヤホンと並行してのメディアコントロール」は不可。他にも「決済サービス」などあれば便利というものは大体できなくなった。
使えないことはないが「Google Pixel Watch」と比べ不便になったというのが正直なところ。現状iPhoneと中途半端に連携し、UIは劣化し、Google Playとの連携も失われた「劣化Wear OS」と呼ぶ他ない代物だ。俺は「腕時計メーカーだから、多少の不便は仕方ない」と思って購入したので、まぁ予想通りではある。
機能は多少妥協できて、タグ・ホイヤーという名前を聞くとテンションが上がるかどうか

結論、これはコストの問題抜きに当ブログ史上最もオススメしない。スマートウォッチが欲しいなら「Google」「Apple」が無難だし、タグ・ホイヤーの時計が欲しいなら「フォーミュラ1」か予算足して「カレラ デイト」がいいんじゃない?って感じ。
スマートウォッチが使いたいが、見た目は普通の腕時計っぽい方がいい。機能は多少妥協できて、タグ・ホイヤーという名前を聞くとテンションが上がる。そんな人ならギリギリあり…かもしれない。
俺は、自分の中で積み上がったタグ・ホイヤーへのブランドイメージと、見た目の出来で許容範囲とする事にした。ただ現在の知識を踏まえ過去に戻れるとしたら、再び購入する自信はない。
まぁリリース直後のOSがダメダメなのは、どのメーカーでもよくある。だから今後のOSアップデートで大逆転する可能性もゼロではない。
チップセットやディスプレイ性能差が大きいが、Androidユーザーは、WearOSを搭載している前作「E4」の方が便利なんじゃね?疑惑が俺の中にある。