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On Cloudalpine Waterproof(クラウドアルパイン ウォータープルーフ) レビュー [ Onのガチハイクシューズ - 俺の理想に近いが… - ]

Onのハイキングシューズ「Cloudalpine Waterproof(クラウドアルパイン ウォータープルーフ)」を履いた感想述べる。

現在理想の登山靴を探してる

最近アウトドア用品レビューが増えている通り、山登りブームが俺の中で来ている。そんでもって困り果てているのが「靴」だ。意外と好みのものがないもんだね。

ソールがカチカチだと俺の用途にはハードだし、かと言って以前買ったHOKA・Salomonの厚底ように柔くてもダメなシチュエーションがある。

黙って靴に合わせるのが王道なんだろうけれど、用途にあったモノを見つけた時の快感を知っている以上俺は引けない。

On Cloudalpine Waterproof に行き着く

というわけで登場するのがスイスブランドOnの「Cloudalpine Waterproof(クラウドアルパイン ウォータープルーフ)」である。

えぇ…Onはランニングシューズメーカーであって、トレイル用途にはどうなん?と思うじゃない?実際俺もランニングシューズでは押しなのだけれど、山で真面目に使うならどうかなと思った。

でも意外といいんだ。実際冬の普段履きとして買って、山行で派手に使ったハイキングシューズ「Cloudrock 2 Waterproof」は、登り固めと下り柔らかめとキャラがハッキリしていて使いやすかった。ただ緩めのハイキング用なためか、岩稜帯だと不安定になる場面が多かったのと、繰り返し使っていたらソールが変に潰れて死んだ。南無。

そこで発見したのが「Cloudalpine」。どうやら「Cloudrock」のような緩めのハイキング用じゃなくて、日帰り登山以上のガチガチのガチ路線らしい。これなんじゃないかと。これなら行けるのではないかと。

お値段は競合ライバル高機能商品とドッコイ

なお定価「¥37,180」。
わぉ!登山定番ゴアテックス+ビブラムメガグリップ搭載ラスポルティバ、スカルパだって勿論、キャラバンやAKUなどなどのええモデルも買えちゃうぜ!超レッドオーシャンの激戦区。

なので過去の「Cloudrock 2」レビューのようなオシャレだね。普段履きにも使えちゃう。みたいな緩い意見なしで行きます。

Cloudalpine Waterproof 外観

まず「Cloudalpine Waterproof」の外観を見ていこう。

現在色はこの青と茶色系のものの2色。登山靴で青色は珍しい気がするけれど、ウェアでは定番のカラーだから意外と合わせやすいかも。

アッパーは見た目の印象より硬い

アッパーは布系がメインだから柔らかそうな印象を受けるが、爪弾きするとコンと高い音が鳴る程度には硬い。

Onロゴなど銀色部分は反射素材で、どの方向から見ても一つ反射素材が見えるようになっている。

名前の通り防水素材採用

ウォータープルーフの名前の通りOn独自防水透湿素材が使用されていて、水周りでも安心だ。

有名なゴアテックス比で防水性はドッコイ、蒸れなさである透湿性がチョイ劣りな印象で悪くはない。ただ素材に厚みがあって若干重量や柔らかさに影響が出てるんだろうなって気がする。

ハイカット構造で足をカッチリ固定する構造

くるぶし上まで覆うハイカット型で、レースホールは7段。そのうち上2段がフック。

また上3段目には変わった形の金具がついているが、そちらについては後で触れる。

シュータンは厚めのクッション素材

シュータンは厚めのクッションが入ったもので、下りの足を支えてくれる。

水が浸入しないよう高い位置で縫われているため、レースフック下段辺りまで水に沈めても大丈夫だ。

シューレースは丸形で末端側が少し太い拘り構造

シューレースは丸形で長さ170cm。末端に近い部分がちょっとだけ太くなっており、緩み難さに貢献しているっぽい。

地味に便利なゴムバンド付き

あとシュータンに「Flexlockシューレースシステム」という名前の付いたゴムバンドが付いていて余った紐を束ねることが出来る。地味に便利。

ソールの作りは見た目に反して真面目

ミッドソールはOnブランドやランニングシューズのイメージからするとビックリするぐらい硬い。また黄緑部分のクッションは外から見た印象ほど厚くはなく、特別厚底でもなかったりする。

素材は公式に詳細がないから正確には分からないが、多分黄緑部分がランニングシューズで多く使われるEVAで、白い部分が登山靴で多く使われるポリウレタンだと思う。取り敢えず上下で若干硬さが違うのは確かだ。

ミッドソールの中間に大型プレート搭載

ミッドソール中央の黒い線はデザイン的なアクセントではなく、一般的な登山靴のシャンクプレートのように剛性を確保している Speedboard(スピードボード)というプレートだ。

カーボンを15%配合したナイロン製とのことで、インソール(中敷き)のような形をしている。

Onのアイコン穴開きは小さく控えめ

ヒールに申し訳程度のOnシューズアイコン穴あきクラウドテックが2つ。

一応貫通した空洞構造だ。

アウトソールラバーはOn独自素材を使用

​On独自素材Missiongripラバーを採用したアウトソール。ソールの張替えは不可。

パターンは爪先に岩を掴みやすいよう平らなクライミングゾーン。そしてブロック状で溝の深いラグという構成になっている。

インソールは2層構造

インソールはサロモンとか他社トレッキングシューズでも見かける別素材を使用した2層構造だ。

表面は速乾素材で、重量は21g(27cm)と軽量な方。

他のOnシューズのイメージで履くと驚く

見た目の印象より重い

まず手に取って一番最初に思ったんだけれど、意外と重めぇなコイツ。「541g」(27.0cm)。

革じゃなくて布素材がメインであること、On一番人気の普段履きシューズCloud5などで軽量なイメージを持っていたのも相まってビビる。公式紹介サイトだと軽量を自称しているけれど、どこがだよって感じ。

ヌバックレザーで覆われカッチカチの如何にも登山靴っていうモデルと然程変わりない重さだ。実際俺の手持ちスポルティバTX4evo(低めのミドルカットではある)より40gも重い。

Onシューズに持っているイメージより硬い歩き心地

更に履いて驚き。意外と硬てぇなコイツ。
そこそこ厚みのあるミッドソールに加え、名前に付いているクラウドの如くフワフワなイメージを持っていたのも相まってビビる。

ミッドソールのクッション自体が柔らかい素材ではないのに加え、厚底ランニングシューズのようにプレートが挟まっているからだろう。

デイリーハイク系より硬めで、ワンタッチアイゼンのコバとか付いているヤツよりは柔いといった感じの中間だ。

Cloudalpine Waterproof で登ってみた感想

ゴツゴツとした典型的なハイキングシューズ

本題。
実際に登山で使ってみた感想を述べていく。

靴底の感触そのままカッチリ硬めの歩き心地だ。他のOnシューズで言う雲の上の歩き味なんか一切なく、なだらかな平地や傾斜率の低いところは正直ダルさを感じる。

一方で木の根や岩などがある起伏の多い場所や傾斜率の高い場所では足が変に曲がらず安定感があり疲れない。スニーカーやランニングシューズとは違うゴツゴツっとした典型的な登山靴だ。クラウドテックどこ行ったのって感じ。

ミッドソールに挟まっているプレートがいい仕事をする

このシューズ独自の部分で良いなと思ったのはミッドソールだ。間に挟まっているシャンクプレート代わりのプレートがいい仕事をしている。

硬い樹脂プレートがミッドソールの間に挟まっているから岩や木の根があるような不安定な足場でも足が変に捻じれず歩きやすい。それで爪先部分は曲がる柔軟性があり、曲がったプレートが戻る反発で歩くのを微力ながら補助してくれているのも嬉しい。

あと硬い割にクッション感があって膝や足へのダメージが少ないのもいいところだ。たぶんクッションとクッションの間にプレートが挟まっているという構造が良いのだと思う。

クラウドテック(穴開き構造)の効果は分からない

一方でOnのブランドイメージでもある穴あきソール「クラウドテック」の効果についてはよく分からない。取り合えず通常の歩きでは全く反発やクッションをくれないし、歩き心地カッチカチ。

雲の上の歩き心地クラウドテックとしてはどうなん?というところはあるものの、変にクッションあると不安定感が増すので、用途的にはこれが正しいと思う。

「じゃあ穴要らなくね。」とか言ってはいけない。これがOnのアイデンティティ。まぁ潰れた痕があるから下りの強いショックが加わるような場面で多少活躍してくれているのだろう。

アッパーは柔らかく丈夫で足馴染みが良い

アッパーの作りも逸材だと感じた。

構造としては…
青い部分がアウトドア定番高強度バリスターナイロン。爪先と踵にスマホケースとかでお馴染みTPU樹脂。甲の部分やシュータンのガードに防弾チョッキなどで使用されている超強度樹脂ケブラー…っぽいなにかが使用されている。

公式に素材詳細が書いていないからケブラーっぽいと書いたけれど、俺はケブラーで間違いないと見ている。

ドジ踏んで足甲ケブラー部分に太めの枝をガッツリ突き刺してしまったんだけれど、近くで見ても外傷がなくてヤバい。

レザーだったら見た目傷が入ったろうし、ナイロンだったら破れていたかもしれないほどの衝撃だったが、足が多少痛い程度で済んだ。

各素材の配置も適切なのだろう。当たりやすい場所に硬い素材があって、曲がる場所に柔らかい素材がある。足に靴の硬いパーツが当たる感触が少なくストレスフリーだ。

あと地味に裏の構造がいい。

腱回りがくりぬかれて、ヒールタブの付いたゴムバンドで覆った作りになっているのだけれど、腱周りがフリーになって圧迫感がなく歩きやすいし、履きやすい。砂利も入りにくいと良いとこずくめ。

[ 注意点 ] 公式サイトのイメージやアルパインという名前ほど極地用ではない

ちなみにOn公式サイトの雰囲気やアルパインという名称からマジのエクストリームコンディションに挑むシューズみたいな雰囲気醸してるけれど、そこまでではない。2024現在Onの中では一番の山岳系だからチョット広告張り切っちゃったんだろう。

登山初心者だとウェってなる少しハード道に挑む時、1~2泊の荷物を持って歩くぐらいの靴だ。日本のアウトドアメーカーモンベルさん家でいう「登山靴(トレッキング)」の一番上で、スポルティバでいう「トレッキング」の一番下ぐらいのイメージ。

長く幅広く使えるから最初に買うといいとも言われる類で、良く言えば万能、悪く言えば中途半端系。先行して書いた通りデイリーハイク系より硬めで、ワンタッチアイゼンのコバとか付いているヤツよりは柔いといった感じの中間。

グリップ力がイマイチで油断すると滑る

さて悪口の時間です。

「グリップが良くない」

グリップするっちゃするんだけれど、油断すると滑べる。縦・横・斜め移動に岩・土・泥などなど、色々なシチュエーションがあったが、特にどれが得意とかもなく全体的に油断するとズルっといく。

ゴム素材で有名なビブラムには当然及ばないし、他社のサロモンコンタグリップ、スカルパプレーサ、モンベルトレールグリッパーどれと比較しても明らかに劣る。なんだコレ?

グリップするっちゃする。アウトドア系じゃない靴やワークショップとか有名メーカー製じゃないヤツとかと比べたら全然強力。でも油断すると滑る。

他社のグリップなら問題ないであろう場所で、急にズルっと行きやすくて、俺の足さばきが決して良くないこと、グリップのパターンが岩場に多少特化していることを考慮しても微妙。

もうこうなるとダメだ。油断すると滑るくらいならば、もともと滑るものとして全く信用しない方が安心出来るのだ。俺は他のメーカーだと気にせず歩いているところ、コレは滑るかもしれないと慎重に歩いてしまっている。

アウトソールラバーのパターンが良くない気がする

今まで同様のアウトソールラバーを使用したOn別モデルを2つ経験してきているのだけれど、そこまで不満はなかった。ということはパターンが良くないんじゃないかと。

前足のラグが浅いのか?詳しくないから分からないがパターンは原因の一つだと思う。

アウトソールラバーの摩耗も早め

あと悲しいかな。摩耗も早い。ビブラムメガグリップの1.5倍ぐらい削れて、イドログリップよりは削れないという感じ。

まだ使い切ってはいないものの寿命は早そうだ。摩耗と引き換えに強烈なグリップくれるなら許せるんだけれどね。

シューレースロックシステムで靴紐が緩みにくい

このシューズ独自の特徴「シューレースロックシステム」については触れなければならない。

公式画像だと分かりにくいし、言葉で説明するのも俺には難しいんだけれど、要するに「靴紐を緩みにくくする構造」である。

下段側の紐を引っ張って…

上段側の紐を引っ張ると…

金具が噛み合って下段側が緩みにくくなるという作りだ。

イメージとしてはベルトバックルみたいな感じ。一つ余分に金物を嚙ませることで、紐が緩まないようにしているのだ。

実際甲回りの紐については一切緩まなかった。

個人的には微妙に面倒くさくて嫌い

一方でデメリットもあって、キツく締めすぎた時に自然に緩まない。登っている内にいい塩梅になってくるという、よくある現象が発生しないのが一つ。

それと絞めるのも緩めるのも一手間加わるので面倒臭い。凄い面倒臭くはないんだけれど、なんか微妙に面倒。

あと締める時金物を固定しているベルトに結構な負荷が加わるのだけれど、ベルト素材もそれを止めている糸も弱そうで心配だ。

「紐が超緩みに難い」という他メーカーにない一長と、「悪い意味で紐が緩まない」「紐の調整が面倒になる」という二短の印象。一長二短。

一回縛ったら緩まないで欲しい人にとっては強力な武器になるだろう。俺は7回ほど使ってみたが、性に合わなかったので上記画像の通り普通の紐通しにした。チャレンジ自体は面白かった。

Cloudalpine Waterproof サイズ感

サイズ感については、若干狭め。
ただサロモンやスポルティバみたいなタイトサイズではないし、キャラバンやモンベルほど広くはない。ワイドサイズの選択肢が浮かんだことがない人は何ら問題なく、逆にワイドサイズが合う人は相性が悪いかも。そんな感じ。

問題は店舗で売っているのか?コレ。俺の住んでいる地域にはない。他の都市も取り扱い少ない気がするけどどうなんだろう。試し履きが難しそうだから返品前提でウェブ購入が手堅い。

他モデルを参考にするならトレッキングシューズ系列よりも同社Cloud5ウォータープルーフやナイキ防水トレランシューズ辺りを参考にするといいと思う。ちなみに俺は素足26.0チョイで、27.0cmを購入。他社のシューズ スポルティバTX4EVOは42サイズ(26.7cm)。

岩に負けない硬さとクッション性が両立した理想のシューズだが…

登りでは岩に負けない硬さがあって、それなのに下りではクッションが効く。緩いコースに挑むハイキングシューズ以上で、初心者お断りキツいコースに挑むトレッキングシューズ未満。俺の理想に近い。ええね。ええ感じ…

なんだけれどなぁ~。アウトソールラバーのグリップで台無しでございます。

なぜ多くのメーカーがビブラム社にお金払ってビブラムソール採用するかというと、ネームバリューもそうなんだろうけれどアウトソールラバーがアウトドアシューズの肝なんだ。ここがダメだと他が幾ら良かろうとパーなんだ。

これも物凄くダメって訳じゃなくて、履き続けていたらこんなもんかと慣れはする。けれど、後でビブラムラバーなど他社製品履くと「マジかこんなに滑らないのかよ」と驚くほどで、例えるなら5年使用したスマホを最新機種に買い換えた時とか、カミソリを新品に変えたような衝撃に近い。それだけ差がある。

シューズをそれなりに購入してアパレルも幾つか所有している程度にOnが好きなので、なんとか持ち上げてやりたいんだが、定価「¥37,180(2024.10現在)」とお高くアウトドアシューズの神器「ゴアテックス+ビブラムメガグリップ」を搭載している商品とガッツリかち合っているのはアカン。(凝った構造しているから値付け自体は可笑しくはないと思う。問題は性能。)

現在On公式ストアでこっそり販売しているアウトレット価格でようやく「Onが好きで身に着けるとテンションが上がるんだ!」という人にはアリという感じ。ゴム任せな足運びをしなければ使える。

アウトソールの改良に期待したい。

アッパーとミッドソール“は”良い。

競合はこの辺のド定番。

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