
アルトラ ローンピーク 9+を山登り用として買ったので、その感想を述べる。
俺のどうでもいい購入経緯

今回買ったのはアルトラのシューズ。アルトラは2009年アメリカで創業した比較的新しいシューズメーカーだ。
最近靴底が薄く裸足感覚で歩けるベアフットシューズに嵌まっているのだけれど、山歩きに使うのは流石に靴底薄過ぎて怖い。でも足裏感は欲しいとか何とか考えた末アルトラに行き着いた。
アルトラは足の指が動かせるよう爪先部分を広めにした「フッドシェイプ」、裸足と同じ自然な歩き方が出来るよう爪先とカカトに高低差がない「ゼロドロップ」構造を採用したシューズを販売している。
考え方としては裸足感覚を大切にするベアフットシューズと近い。コレこそクッションの付いたベアフットシューズみたいなモノなんじゃないかと。アルトラなら程よいクッションを確保しつつ足裏感覚があるのではないだろうかと考えた訳だ。
アルトラ ローンピーク 9+ 外観

選んだのはアルトラで定番とされている「LONE PEAK 9+(ローンピーク 9+)」というモデル。
トレイルラン・ハイキング向けの靴で、俺はハイキングいわゆる山登り用として購入した。
外側面

まず外観をザックリ見ていく。
外側面はアルトラロゴとLONE PEAK 9+ロゴが並ぶ。
内側面

内側面はアルトラワードロゴ。
上部

爪先は尖っておらずアルトラらしい足なり形状。
後面

見た目カッコいいと思いました。(私見)
ちなみに色は街歩きにも使えそうなオールブラックにするか、超ド派手なブルー(シアン×イエロー)にするか悩み、何故かネイビーに決定した。
ネイビーと言うけれど割とブルー寄りではある。ネイビー・レッド・オリーブは公式Web画像と実物の印象が違うので注意して欲しい。
アルトラ ローンピーク 9+ 特徴
フットシェイプ形状で指先が動かしやすい

アルトラは足の形に合わせたフッドシェイプ構造を採用しているため足の指が動かしやすい。
普通の靴は足先が窄まっているから親指と小指が少し圧迫されている感触があるじゃない?あの感触がなく指が靴に接触していない状態なので、指が自由に動かせるというか勝手に動く。
脚の健康に良いらしいし、シンプルに開放感があっていいと思う。
アッパーはリップストップ構造

アッパーはリップストップ構造を採用。
リップ(裂け)ストップ(止める)ということで、万が一裂けても格子になっている部分で裂けが止まるようになっている。つまり丈夫。
密度が高いから砂ぼこりが入らないし、防水ではないものの軽い撥水効果があるため水分量の多い泥道を歩いても意外と平気。
非防水型にしては通気性が悪め

一方メッシュのように風が通る穴が開いていないため通気性は低め。画像は400ルーメンのヘッドランプを中に入れたものなんだけれど、ローンピーク(右)は全然光が漏れない。
ヌバックレザーやゴアテックスを採用しているものよりはマシだが、防水ではないシューズとしては暑くなりやすい印象だ。真夏に適しているとは言い難い。逆にある程度寒くても大丈夫ではある。一長一短。
爪先にはTPU素材のガード

爪先にはスマホケースでもよく使用される素材TPU製のガードが付いている。
柔らめで爪を守るためというよりも、アッパーを守るためのものっぽい。爪先ぶつけると普通に痛い。
シューレース周りに工夫が沢山
二段ハトメ・中断にサブホール採用

シューレースのパターンはスタンダード。もちろん二段ハトメは完備。
中段にサブホールが付いているのもポイントだ。これを使用すると中段で紐がロックされるため、下段は緩めで上段はキッチリ閉めるとか、そういった調整がしやすい。
ライニングクッションは厚めで安定感抜群
シュータン

シュータンはしっかりとクッション厚手。傾斜角のある斜面を降るとき体重をかけても不快感がなく優秀。

フィット感を高めるためアッパーと連結したガゼット構造になっている。
ヒール

ヒールには指をかけて引っ張れるヒールストラップ付。ガッチリ縫い付けられている。

ヒールのクッションも厚手。

足首周りの抉りが深いため、足を動かしやすい。一方小砂利の侵入は防ぎにくい一長一短。
ヒールカップは少し柔らかく足の自然な動きを妨げない形だ。カッチリとしたサポートが欲しい人にとっては微妙かも。好みの分かれそうな部分ではある。
ミッドソールは26mm厚ゼロドロップ構造

ミッドソールは『Altra EGO(イーゴ)』。ウレタン系素材のもっちり弾力系。内部にシャンクやカーボンなどプレートの類は入っていないとのこと。
なおウレタンなので、登山靴あるある加水分解によるソール分離の可能性はある。あまり履かず数年保管する場合は注意して欲しい。俺はその前に使いきれるだろうから無問題。
厚みは25mmで厚底ではなく、薄底というほどではなくといった印象。

ソールの形状的に外から見ると分かりにくいけれど、爪先とカカトがフラットなのがアルトラシューズの特徴だ。
アウトソールはみんな大好きビブラムメガグリップ

アウトソールは、みんな大好き、俺も大好き 最強ラバーVibram Megagrip(ビブラムメガグリップ)。色鮮やかでいいっすね。
ラグ(突起)の高さは3.8mmと低くもなく高くもなくといったところ。矢印型で前後グリップ重視のパターンとなっている。

ラバーがカカト外まで広がっているのは接地面積を稼ぎ、安定感やグリップ力を高めるための手法である。
どの程度の効果をもたらしているかは分からないが、なんかカッコいいのでヨシ!
インソールは薄手でサポート最低限

インソールは薄く、アーチサポートも最低限。自然な足感覚を養うためのものって感じ。
なお社外のインソールを入れても問題はないのだが、アルトラの特徴であるゼロドロップが数ミリ崩れるのと、特殊な足成形状であるため他の靴と併用出来ないのは注意。

インソールを抜いた状態で見える底材のクッションも最低限。
専用ゲイターがあれば便利

シューレース先にゲイターを引っかけるためのフック。ヒールにGAITER TRAP(ゲイタートラップ)というベルクロが付いている。ヒールのベルクロを活用すると、ストラップを靴底に回すことなくゲイターを取り付けられるとのこと。
ただし専用のベルクロ付きゲイターが必要で、日本のアルトラ公式で推奨しているのが『ティートンブロス Power Gaiter 2』。あと普通のゲイターにベルクロテープを貼れば使えないこともないと思う。
アルトラ ローンピーク9+ 重量(26.5cm)

重量はメンズUS8.5(26.5cm)で、「296g」だった。
布素材非防水ショートカットシューズにしては、シッカリ重量がある印象だ。ハイキングシューズとしては軽く、トレイルランニングシューズとしてはチョイ重めぐらい。
アルトラ ローンピーク9+ サイズ感

サイズを間違うと指をぶつけやすい構造
アルトラはサイズが物凄く重要になる。というのも足成型で爪先が広いため、足が滑ると爪先側面での突っ張りが効かず、指が靴に衝突しやすいからだ。
またアルトラはモデルごとにフッドシェイプ(木型・足形)というのが決まっていて、ローンピークは「オリジナル」というものに該当している。
(広)「ワイド」>「オリジナル」>「スタンダード」>「スリム」(狭)
といった感じで。幅の広さが分けられている。
オリジナルが2E、スタンダードE、スリムDぐらいで、オリジナルは特別狭くもなく広くもなくといった印象だ。
素足+1.0cmぐらいが推奨
日本のアルトラ取扱代理店が推奨しているのは素足(はだしの足)の長さ「+1~1.3cm」。靴の中に1.0cm程度の空間を作るように…というもの。
なのでWebで購入する場合は、単純に裸足の長さを計って「+1~1.3cm」足したサイズを買うのが良いかと。
普段の靴よりハーフサイズもしくはワンサイズ小さめになる人が多いらしいが、アルトラは爪先に空間が確保されているため気にせず選んで、そこから返品制度を上手く利用し微調整するのが良いだろう。
自分の場合 いつもよりハーフサイズ小さめ

俺は素足25.0cm後半の細めで、26.5cm(US9.5)を選んだ。普段履くスニーカー・ランニングシューズは27.0が多く、偶に27.5cm、次いで26.5cm。3E型のシューズやワイドサイズを選ぶことはない。
ただ定番を履いてみたいという思いからローンピークにしたが、スタンダードフィットのティンプやスリムフィットのリベラの方が、包んでくれているというか一体感があるというか、まぁ兎に角足に合っていた。
未だかつてないくらいフィッティングに時間を掛けてくれた店員さんも「ローンピークでも大丈夫ですけど、お客さんはティンプの方が足に合ってますよね?フィットしている感じありますよね?」って言ってた。細足の人はオリジナルフィット以外を検討した方がいいかもね。だが気分はローンピークだったのです。
参考までに書いておくとスタンダードを採用したティンプ、スリムのリベラでもサイズ(長さ)は変えない。俺はメンズUS8.5(26.5cm)。
アルトラ ローンピーク9+ を履いた感想

履いて歩いて思ったことをグダグダ書いてみる。
ゼロドロップの感触が独特
履き心地については、俺がアルトラに慣れていないのもあって新鮮。
後ろ側に若干傾いているかのようだ。実際のところ一般的な靴が前に倒れているのであって、コチラが平ら(ゼロドロップ)らしい。
この構造のメリットとしては、カカトから足を下ろすヒールストライクが自然と減ることだ。カカトから足を下ろすと衝撃が強く、それを避けるようになるのと、そもそも足がそのように動きにくくなる。不思議。
これによって人体にとって自然で、負荷の掛からない歩き方になるのだとか何とか。
万人受けするものではないと思う
ただアルトラの思想はチョット独特というかマニアックかもしれない。万人に受け入れられるものではないかと。
普通の靴のようにドロップが付いているのも絶対悪ではなくて、ラクに歩くため考えられた立派な手段なのだ。
ドロップがある靴の方が、自然に足が前に進んでラク。体力をセーブしたり、速く移動することが目的ならドロップがあった方が良い。
サポートは控えめで接地感が高い

クッションやサポートは程々で自力が試される
歩き心地については、クッションはソコソコで、蹴り出しのサポートは少々控えめ。自分の力でシッカリ足を回すかたちになる。
また雑に足を置くと衝撃があるから、丁寧な着地を心掛ける必要がある。足運びの良い練習になるシューズという印象だ。
設置感が高く地面の感触が掴みやすい
靴底に厚みがないため、地面と素足の距離が近く接地面の感触が掴みやすい。
足裏から、滑る、グリップ出来ている、尖って不快などの感触が伝わるから斜面でも安心感あるし、予想していないスリップが発生し難い。
例えると普通の靴が軍手を付けた状態で、ローンピークが薄いゴム手袋。軍手よりゴム手袋の方が、素手の感覚に近く靴紐を結んだり細かい作業しやすいじゃない?そんな感じ。
トレイルランでも走りやすい…っぽい

俺はハイキング用に買ったものの、本来的にはトレイルランニングシューズなので山で走ってみた。トレイルランはド素人。
別途所有しているナイキペガサストレイルだと、走るというより滑り落ちるに近い感触で「山で走るもんじゃねぇ」なんて印象をもったものだが、これは安定して走る事が出来た。傾斜角があっても地面に食いつき、シッカリその場に留まれるから、俺のようなド素人でも自分のペースを作りやすい。
アレ?俺トレイルランナーとして走れてる!って感動した。なお斜面で走りを継続出来る体力とスキルはなかった模様。
ロードランでも悪くはない印象
あとコンクリート上でのロードランに使えなくもない。
アウトソールがトレイル向きで、ラグのゴツゴツとした感触があるからロード用として使いたいかというとNOだが、意外と反発がありテンポよく走れる。
グリップ力抜群!流石のビブラムメガグリップ

グリップについては濡れた道、岩、汚れ、様々な地形でトラクションが掛かかり、ラグの高さもあるため“ぬかるみ”にも強い。
不満を捻りだすなら、足を横にした状態でのブレーキが強くはない。ラグパターンに横ブレーキがあまり付いていないからその影響だろう。トレイルランニングシューズだからね。やむなし。
ただ強くはないってだけで、問題かというと別にって感じ。流石ビブラムメガグリップ。文句ないです。
良くも悪くも設置感が高い

下手な歩き方をしたら衝撃として帰ってくるのは難点。
俺が如何に厚底シューズ「HOKA KAHA2 GTX」に守られ育ったか実感した。マジで段差の降り方下手くそ。色んなところでクッション任せ雑ジャンプやっていたんだなと。有難うKAHA兄さん。
要するに、そこがイイところでもあり、ダメなところでもある。サポートが強い靴だと足運びが悪くても何とかしてくれちゃうのだが、ローンピークはその辺サポートしてくれないとも言えるし、ハッキリとダメだと教えてくれるとも言える。
凹凸感が伝わるから岩稜帯が辛い
あとソール25mmと薄くはないのだけれど、素材が柔らかいから岩場や木の根のようなデコボコした道を歩き続けると足裏にダメージがある。
俺は街歩きでベアフットシューズを使い足裏鍛えているから余裕でしょ!とか思ってました。今は慣れたけれど、使い始めは4時間以上歩くと軽い痛みが出た。やはりコンクリート上とは違いますな。
体力をセーブしたり、速く移動することが目的ならコレではない。痛みをもって足運びを指導してくれる鬼コーチ系シューズだ。
程よい足裏感覚が光る -ただ少々マニアックかも-

イイ靴ではあるが、アルトラの思想的を理解して買うべき
「なかなかマニアックなシューズっすね」という印象だ。ベアフットシューズ(超薄底靴)ほどではないけれど同じ穴のなんちゃら。俺の想像していた通りクッションの付いたベアフットシューズである。
基本的に歩き方改善したいとか、足指を動かし足を鍛えたいとかそういった発想を持つ人が買うべきモノだ。アルトラのコンセプトというか思想的な部分を理解して選ばないと危険。
足成のフッドシェイプはサイズ選びと靴紐を結ぶことが重要過ぎるし、ゼロドロップは体にいいのかもしれないがドロップ差あるのは楽なのだ。理解していないと、やや変わった形の前に進みにくい靴でしかない。
あと最初のアルトラ登山・トレランデビューにローンピークは刺激が強いかもね。起伏に乗り上げるとソールが凹んで容赦なく足を刺激してくる。所有していない俺が言うのもなんだが、もう少しソール厚のあるアルトラオリンパスから始めるのも良いかと。
足裏の感触が程よく伝わり良いトレーニングになる
俺的にはアリ。悪い歩き方した時にハッキリと教えてくれるから改善をし易いし、アッパーの作りやグリップにも特に文句がない(ただスタンダードorスリムフィットバージョンは欲しい)。
歩き方を学びたい。ケガ防止。足指を動かし足を鍛えたい。そんな目的にはピッタリだ。
とても気に入りました。満足。
以下ゲイタートラップ対応ゲイターリンク
「ティートンブロス Power Gaiter 2」
ティートンブロス社ウェアの端切れを使っているとか何とかの理由で、入荷頻度が少なく常に品薄気味なのが欠点。

「OUTDOOR RESEARCH スイフトランゲイター」
ゲイターといえば、ゲイター開発からスタートした「OUTDOOR RESEARCH」は外せない。
アメリカ本国ではアルトラ純正品があってamazonや個人輸入で買えないこともない。
ただアルトラ代理店㈱ロータスさん判断で、日本では販売していないのだとかなんとか。クオリティがちょっとアレならしい。