足裏トレーニングシューズで有名な奇抜な靴ビブラムファイブフィンガーズを買った。
俺と「ビブラムファイブフィンガーズ V-Ran」との闘いの記録を残す。
足裏が疲れやすかった。鍛えたかった。
俺は長時間歩く時ランニングシューズやハイテクシューズを履き、ビジネスシューズやクラシックスニーカーを使わない。疲れるから。
だが多くのリーマンが固いソールを持つビジネスシューズで苦もなく歩いて、女性はヒールという拷問器具にしか見えないものを履きこなしている。また休日には室内履きスリッパより辛うじてマシなサンダルで軽快に歩く人に、どっからどう見てもクッション皆無な安物クソ靴で歩く人も多数。どういうこっちゃねん。俺は無理。
比較しようがないのだけれど、俺の足は一般平均より貧弱なのではなのではないかという疑問が以前からあった。学生時代から快適な靴で甘やかし過ぎたのではないかと。解決すれば好きなスニーカーも快適に履けて、微妙に抱えている劣等感も消えてスッキリするんじゃないかと。
だから鞭を打ってタフな足を作りたいと思った訳だ。というわけで登場するのが「ビブラムファイブフィンガーズ」である。
ビブラムファイブフィンガーズ について
アウトソールラバー大手ビブラムのシューズ
「ビブラムファイブフィンガーズ」はイタリアの Vibram(ビブラム)が販売するシューズ。
普段スニーカーを履いている人には、あまり馴染みないメーカーかもしれないが、数多くのアウトドアシューズで採用されているソール(靴底のゴム)大手メーカーだ。
ダナー、メレル、スポルティバ、ホカオネオネなどアウトドアシューズを所有している方は靴底を見てみるといい。
多くの靴に黄色い「Vibram」ロゴが付いているはずだ。そのゴムを作っている会社のシューズだ。
五本指に別れた足裏トレーニングシューズ
ビブラムファイブフィンガーズは交通機関の発展や靴の性能向上によって、低下傾向にある足の筋力を鍛えることを目的としたものだ。最大の特徴はファイブフィンガーズの名の通り五本指に分かれていることにある。
指が動くことにより人間本来の自然な動きをサポートし足の筋力が付くとのことで、アスリートのトレーニングや健康改善にも使われているらしい。正に今回の目的通り。
オールラウンドでベーシックな「CLASSIC」、不整地向け「V-Trail」などなど用途に合わせた選択肢があり、俺はコンクリート上でのウォーキング・ランニングに使用するため「V-Run」を購入した。
ビブラムファイブフィンガーズ「V-Run」外観
街歩きはキッツいぜ!独特な見た目
細かく外観を見ていこう。
なおイタリアビブラム公式サイトで、この「V-Run」はウォーキング・ランニング・“普段履き”を推奨している。
あなたの旦那さん奥さん、彼氏彼女、父さん母さんが、これを履いてショッピングに来たことを想像して欲しい。中々イタリアンジョークが強烈。
試しに一度電車に乗ってみたり、街歩きしして見たのだけれど、派手色スポーツカーに乗っている時よりも視線を感じる。
「変わった靴ですね」とコメントをくれたシューズショップ職員には、何その変な靴という雰囲気を隠す努力をして頂きたいところ。
第三者が見る場合つま先か上向きからのビューになるため、どうあがいても5本指の異質さが際立つ。5本指靴下で歩いているかのような不気味さ。
ただ実際のところ履いていると感覚がマヒってきて「普通の靴と大差なくね」とか思い始めている俺が怖い。ロードバイクのピチピチサイクルウェアと近いものを感じる。
アッパーはスカスカ ソールはペラペラ
アッパーは非常に薄く穴だらけ。シューズというより、底ゴムの付いた足袋と考えた方が近い。
丸紐ドローコードを採用しており、素早い締め緩め調節が可能。
また紐がブラブラとしないように先端に面テープ(マジックテープ・ベルクロ)が付いている。
横から見ても普通の靴感が薄い。足。
ヒールはやたらと斜めった感じで異様。
インソールはない。一体式。
だがネットに入れ洗濯機で洗えるからあまり気にしなくていいだろう。布が薄いからすぐ乾く。
「V-Run」はランニングを見越したモデルということで、ビブラムファイブフィンガーシリーズの中では厚みがありクッションがある柔らかいものなんだけれど……ものスゲェ固いし薄いです。
靴と底ゴムの中間ミッドソールと呼ぶ場所がまるで存在しない。一般的な薄底ランニングシューズ5倍ぐらい薄い。
ラバーは勿論ビブラム製でグリップは良好。
ちなみにお値段はどのモデルも1万円を超え、このモデルは2万円台である。だがそれらしい雰囲気はない。というか結構作り雑。
まぁ超ニッチな靴だし搾り取れる人から取る戦略にするしかないんじゃないかというところもあるので、やむなし。
「V-Run」の重量は超軽い
重量はたったの「129g(M41:26.7cm)」
ガチランナーが使うような速攻で寿命を迎えるレーシングシューズをぶち抜く軽量性で履いている感触皆無。
様々なシューズを購入してきたが、俺の所有してきた中でぶっちぎりの最軽量である。
ファイブフィンガーズ「V-Run」サイズ感
取扱店舗がほぼ存在しないのが壁
サイズについては、取り扱い店舗が少なく殆どの地域で試し履きが出来ないというのが最大の関門。故に大半の人がネットで返品を視野に入れて購入することになるはず。
目安ついては、日本の正規代理店「ベアフットジャパン」さん の言っている通り「踵から一番長い指先までの長さに0.7~1cmを足して購入する。(スモールサイズは1サイズ上)」というのが正解だろう。
俺は素足26.0cmで足幅E寄りのD、普段購入する靴のサイズが27.0~27.5cmで、26.7cm(M41)を購入した。余りが0.5mm程度なので公式寸法は超正確。
足のサイズを正確に把握し、よく試し履くこと
足の寸法はメジャーなりゾゾマットなりなんなりでサイズ計測してもいいんだけれど、アシックスウォーキングやスポーツデポなどで測定できるデータが滅茶苦茶優秀なのでオススメ。
なお「一回使用したら絶対に返品させねぇ!」という意図なのか、画像の通りやたらとデカいタグが縫い付けられている。よく室内で試し履きしてから外すように。
ビブラムファイブフィンガーズは当然履きにくい
ビブラムファイブフィンガーズは予想出来るだろうけれど履きにくい。よくあるカカト軽く踏んでガッ!っていうのは絶対無理。普通の靴とは比べ物にならないくらい面倒なのは押さえておいて欲しいところだ。
ただ5本指靴下のように先端がふにゃふにゃしていないから狙いを澄ましてズボッと足入れしてやれば意外と簡単。まぁ履き続けたら何やかんや慣れる。
なお当然だけれど通常の靴下は履けない。靴下を履きたいのであれば、5本指靴下が必要だ。シューズ本体を洗えばOKと割り切って裸足にするか、靴下を履くかは各々の好み次第。
俺はユニクロの五本指靴下を履いている。直ぐに毛羽立つが、くるぶし周りが程よく薄く、母指球周辺にラバーも付いていて値段の割にやたらとクオリティ高い。オススメ。
ビブラムファイブフィンガーズ「V-Run」使用感
歩行・走行スタイルが洗練される
ソールが薄いため設置感が物凄い。足を降ろした衝撃、僅かな凹凸や小砂利の感触までダイレクト。まるで裸足かのよう。普段如何にミッドソールの厚みに守られているかを思い知るだろう。
すると薄底で裸足に近い感触だから下手な歩き方を無意識にしなくなる。痛い思いをしたくないから「足全体で衝撃を分散するようなイメージで、蹴り出しは足指全体でシッカリ」という歩行の基本フォームが洗練されるのだ。
またソールの薄さが絶妙で、歩くだけで足裏が物凄く痛かったり、石踏んだら激痛が走ったり、膝に衝撃が来たりするのかと思っていたのだが意外とそうでもない。踏んでいる感はあるけれど小石を踏んでも激痛は走らないし、足裏と膝下で衝撃は凡そ吸収可能だ。履いた初日から走れない事もなかった。
ただ写真のような1cm以上の大きい石を急に踏み抜くと流石に痛い。やむなし。
足指が稼働する。動かさないと進めない
繰り返すがソールが薄い。スニーカーは曲がったソールが元の形状に戻ろうとする力で、ランニングシューズはクッションが潰れ戻る力も加え蹴り出しを助けてくれているのだけれど、それが一切ない。つまり自分の力のみで、指先で蹴り出す必要がある。
だから5本指に分かれている訳だ。「ほら指が動きやすいだろう?使いな!」ということである。「テメエの足で蹴り出しな!」ということである。親切なようで、ドクソスパルタン。
歩くと指先が分かれているため通常の靴より足指が動く。接地面の起伏に合わせて反り返り、蹴り出しの際には力がかかって全体が広がるのだ。
アッパーに覆われずソールに囲われていないと、こんなにも動くのかと感心するほどで、普段それだけ怠けているということでもあるのだろう。これがキツイ。
最初は筋肉痛になる
初めの数回だけなのだけれど、膝下のふくらはぎ全体が筋肉痛となった。翌日バッキバキ。爪先での蹴りだしが強いとふくらはぎの筋肉痛になるらしい。そらなるわ。だって蹴り出しサポートしてくれないんだもん。
なお俺はこのシューズを履く以前から5km以上のランニングをほぼ毎日やっていたので、普段運動をされていない方は他の部分も痛くなるかも。
コレを乗り切ると、ファイブフィンガーズを日常で使えるほどタフな足が仕上がる。
ビブラムファイブフィンガーズ「V-Run」効果
2万円オーバーして見た目がちょっとアレなシューズを買ってどんな効果があったかというのが以下。
ビジネスシューズ・スニーカーで歩いても疲れない
まず筋肉痛にならなくなった時点で、スニーカーやビジネスシューズのようなものを履いても疲れにくくなっている。筋肉痛になったってことは、鍛えられたということでもあるからだ。
試しに嫌いなビジネスシューズで1時間ほど歩いたけれど何の疲労感もない。余裕。このペラペラのシューズで筋肉痛にならなくなった時点で、多少ソールが固かろうが薄かろうが屁でもない強い足が仕上がっている。
なおここまでたったの2週間で達することが出来た。長年抱えてきた劣等感は何だったのか。速攻で目的達成して呆気ないほど。
歩き・走りのフォームが洗練される
自画自賛出来るほど歩き方が良くなった
元々ランニングをやっていたので、足の着地というのは気を付けていたのだけれど、このビブラムファイブフィンガーズを導入してから更に磨きがかかった。先行して記載した通りファイブフィンガーズでの着地失敗は痛みが走るからフォームが洗練されるのだ。
背筋伸ばして肩張って歩けば、マジ俺の歩き方キレイ。街歩きをしていても俺が一番歩き方キレイなんじゃね?と窓に映り込む姿をウットリする。まぁ一番は冗談なんだけれど、多分100人中一番ぐらいのフォームなのは間違いない。断言する。
ランニングフォームも洗練された
またランニングフォームの改善にもなった。3つくらい代表的な着地方法があるのだが、要するにいずれも足が痛くなりにくい効率の良い手法なのだ。だからファイブフィンガーズで走っていれば、自然と要領は身につく。
なおランニングのタイム短縮や疲労感軽減に繋がったのかというとそうでもない。でもなんか以前より上手く足を運べている感はある。
足指が物凄く動くようになった
なんか足指がスゲェ動くようになった。元々足指が上手く開けなかったくらいなのだけれど、今は小指までやたらと動くようになったぜ!足指が歩行・走行時に動くことによる効果なのだろう。
だから何なんだよというのは自分でも思うのだが、強いて言えば指での押さえつけ力が上がったか?スリッパとか脱げないように保持する力が高まっている気がする。
足指は本来的に自在に動くのが、正常らしいので何らかのポジティブな効果はもたらしているはず。分らんけれど。
変な見た目など導入ハードルは高いが効果はデカい!
「ビブラムファイブフィンガーズ」は取扱店舗がなくて試し履きしにくい、ちょっとアレなビジュアル、クソ高い値段、慣れないと痛い薄いソールと購買意欲がなくなるネガティブ要素が揃いまくっているが効果はデカい。
足と指の筋力上昇、歩行スタイル改善は効果が実感出来た。ビジネスシューズやスニーカーで痛みなく駆け回れる足になったのは嬉し過ぎる。
指の浮き足や偏平足の改善にも役に立つらしいので、該当する方は手を伸ばしてみるといいだろう。最初痛いけれど。
犬の散歩する人なんかに最高だと思う。
俺の購入したモデルより薄底なモデルも数多くある。マジで?V-Ranでも十分薄いぜ?