文房具それは多くの所有品に持ち込み制限がされた学校という閉鎖空間の中で堂々と持ち込みが出来るアクセサリーのような道具であった。花型は何といっても使用率の高いシャープペン。
俺はそのデザインと機能性に惹かれ勉強全然しない癖にまぁ沢山買った。振ると芯が出てくるペン、グリップがグニャグニャなヤツ、ペン先がクルクル回るアレ、金属で素敵な製図用などなどと大凡コンプリートしてると思う。
そして文具好きを拗らせた多くの方が至った道だろうけれど、グリップにゴムも複雑な機構も存在しない樹脂の塊「ラミーサファリ」に魅了された。そして今も魅了され続けている。
というわけで今回は愛用のシャープペン「LAMY safari ペンシル」について語ってみる。
LAMY Safari について
まずLAMY(ラミー)とその商品であるサファリついて軽く紹介したい。
英国の筆記具メーカーParker(パーカー)で働いていたカール・ヨーゼフ・ラミー氏が独立しドイツで1930年創業したのがLAMY。
カール氏はパーカーのような高級感のある万年筆を販売していたが、2世代目である息子マンフレート・ラミー氏が方針を変更。ドイツで有名なバウハウス(美術学校)が提唱する「機能によってかたち作られるデザイン」を取り入れて他社との差別化を図ったそうだ。
そんなラミーがサファリを発売したのは1980年。
ドイツの小学校で使用する学習用万年筆として開発され「冒険」と「自由」という意味を込めラミーサファリと名付けられたとのこと。
「機能によってかたち作られるデザイン」つまり小学生でも取り扱いやすいようにと考え抜かれたその機能的デザインが、小学生の学習用万年筆という枠を超え大ヒット。ドイツだけではなく世界中に広がった。
そして販売から30年以上立った今では、日本でも筆記用具に拘りを持ち始めたら必ず辿り着く定番となっている商品なのだ。
LAMY Safari ペンシル の外観と魅力
歴史あるおしゃれな梱包 だが…
これがサファリの入っている包装。
隙間から内部が覗けるような厚紙の箱は、サファリ販売当時からの伝統的なスタイルのようで、他のラミー商品でも使用されている。
厚紙だから高級感とかそういうのはないのだけれど、視覚的に楽しませてくれるデザインだ。
ただ販売先によってテープベッタベタに貼られて、箱が潰れていることが多いので購入先は注意して欲しい。Amazonは微妙。
ルーツは万年筆 現代的なボールとシャープもある
これが今回紹介する「LAMY safari ペンシル」
ラミーサファリはルーツである「万年筆」、現代で主流な「ボールペン」「シャープペンシル」で展開されている。歴史の流れとかを考慮すると、そこは万年筆だろうが!という感もあるけれど使わないんだもの。仕方ない。
シャープペンシルの芯先はローマ字使用圏で主流な「0.7mm」、日本でのスタンダード「0.5mm」がラインナップされているのだが、0.7mmはラミージャパンが現在取扱いしてない故入手しにくい。ちなみに他国より細い芯が主流な理由は、ローマ字より漢字が複雑な形状だからとのこと。
機能的でシンプルなデザイン
これは見ての通りホワイトカラー。この色はサファリ販売当時珍しい色みたいだったみたいで、ヒットの切欠となったようだ。
素材は子供が取り扱いやすく、壊さないようにと軽く丈夫な素材「ABS樹脂」が使用されている。レゴブロックや車のフロントグリルにも使用されている素材だ。このABS樹脂の何がいいって、樹脂素材の中でもトップクラスに塗装が美しい。パリッと明るい色が出るからイエローなどもお勧め。
三角形のグリップ。
小学生向けに作られただけあって、正しい持ち方に自然誘導するための形状となっている。これについてあまり考えたことなかったのだけれど、確かにこの形状は賢い。明らかに変わった持ち方をしたら尖った部分に当たって痛いもんな。
何やかんや正しい持ち方を学んでおくに越したことはない。厳しい目で見てくる人も多いと思うし、世間で正解とされているだけあって変な力が加わりにくい持ち方だ。それとコロコロ転がらなくなるのも何気嬉しい。
針金状の大型クリップ。
厚手の書類やポケットにも使えるようにという配慮がされたものである。正直板バネとか入っている新しいタイプのクリップと比較すると使い勝手の良いものではない。だけれどデザインとしてカッコいいじゃない!樹脂パーツの中に一点煌めく金属というのが素晴らしい。
LAMYロゴはプリントではなく凹凸状のエンボス加工。このペン全体的に光沢感があるのだけれど、凹状のところだけ光沢感を消しているため同色でも意外と目立つ。
ペンシルならではのアレンジが光る
オリジナルは万年筆であるため、構造上幾つかのアレンジがされているのだけれど、それがまた上手い。ペン先の黒灰白と分かれたコントラストがお見事。
キャップは取り扱いやすいように入れてある切り込みの形状が独特でナイスデザイン。
ペン先のカラーと合わせたラバーもいいアクセント。5と凸で芯のサイズを刻んでいるのもいい。
分解すると画像のような感じで、至ってシンプル。昔ながらのザ・シャープペンシル。
内部の樹脂パイプには必ず切れ目というかヒビ割れが入っている。
今から10年前以上前ラミージャパンに問い合わせたところ「仕様です。理由は分かりません」と返答があった。なんか分からんけれどそういうモノなのだ。実用上問題はないし、初期不良ではない。
値段の割に高く見えないのは欠点
このシャープペン公式定価3,080円で実売2,000円程度と非常に高価なのだけれど、それには理由がある。ラミーの商品はすべて“Made in Germany”であるためだ。人件費のかからない他国生産にしていないということを頭に入れておいた方が値段に納得できると思う。
なお値段が高くドイツ生産だからと言って、製造クオリティが高い訳ではない…
側面のバリは凄まじく、撫でると軽く引っ掛かるくらいだ。
クリップ穴は何でこんな形状なんだというヘンテコリン(偽物防止のため敢えてなのか?)
筆記具といえばプレゼントとして送るのが定番だが、ラミーサファリを送るのは超オススメしない。理由は鉄や木材が使われている商品の方が高見えするから。サファリのデザインに惹かれなかったら安っぽいペンを送ってきた奴と思われて終わり。
おまけ:クリアカラーの外観
手元にクリアカラーもあるので、ついでに何点か写真を
魅力的な商品であるのには変わりないのだけれど、凹凸感が分かりにくいので最初に選ぶカラーとしてはオススメしない。
でも内部機構が見えるのは何となく楽しいし、置く場所や光の当たり具合によっては凄まじくカッコよく見える。
クリア・黒・シルバーの3色でまとめられている。
LAMYロゴは凹凸加工じゃなくて、銀色のプリントだから白とは印象が違う。
デザインに惹かれたら買ってみるといいだろう
実用十分な国産メーカー品が100円程度で、三菱鉛筆クルトガとかいうイカレた複雑機構が500円で、鉄を使った商品が1,000円ぐらいで購入出来る中、何故に樹脂でシンプルなシャープペンを高値で買うのだ?という疑問はごもっとも。
今回冷静に高校生時代から使い続けてきたこのシャープペンを見てみたけれど、2,000~3,000円の価値は見出せない。肝心の使い心地も小学生用に作られたというルーツがあるだけあって、大人が握るには少々細身で短く、書き味も極めて普通。高見えしないし実際値段相応の素材や技術はないと思う。
「歴史やデザインに金を払ってんだ!!」という割り切りはどうしても必要な商品ではある。俺は机の上に置いてあるサファリを見ると、未だに幸せな気持ちになる変人だからいいんだ。
まぁ高いと言っても数千円程度である故に、学生でも全く手が出せない商品というわけでもない。デザインが気になったなら一本手に取って見るのもいいのではないだろうか。
黄色など派手色もオススメ!
ボールペンはリンクのノック式とキャップ式があるのでお好みで!
サファリペンシルのアルミニウム版「アルスター」もある。