今回の記事はスイスのシューズメーカー「On」その代表的モデル「Cloud 5」そしてその防水バージョンである「Cloud 5 Waterproof」の2足が手元にあるから並べて比較してみようという企画。
流石に同形状の靴を短期間で3記事目となるとテンション下がってきたので、今回は簡潔に述べる。
On Cloud 5(オン クラウド5)について
まず簡単にOn「Cloud 5」について簡単に紹介。
2010年創業で爆発的な勢いで伸びてきているスイスのブランド「On(オン)」。その代表的なシューズが「Cloud(クラウド)」、2022年現在最新モデルが「Cloud 5(クラウド ファイブ)」である。
初期の「Cloud」は超軽量ランニングシューズとしてリリースされたが、現在の「Cloud 5」はデイリーユース(街歩き)向けになっている。でもその快適性は普段使いのスニーカーという域を超え、最早運動に使うランニングシューズ。普段履きや街歩きには勿論、ウォーキングやジョギングなど軽度の運動まで広いレンジで使える快適な靴が「Cloud 5」だ。
「Cloud 5」快適性のポイント
雲の上の快適性「CloudTec(クラウドテック)」
Onのアイコンであり特徴的な穴の開いたソール「CloudTec(クラウドテック)」。これが快適性を生んでいる一番のポイントだ。見慣れないと少々クセがあるだろうか?ビジュアルもモコモコと雲っぽいのだが、歩き心地も正しくそれっぽいのが特徴。イメージ出来る通り空洞が潰れることによる衝撃吸収と戻ることによる反発性を生かしたものとなっている。
長時間のショッピングや軽いジョギング、ウォーキングなど足に負荷がかかる状況に最高だし、デイリーユース寄りというだけでランニングに使えないこともない快適なソール材なのだ。
楽に脱ぎ履き出来る「スピードシューレース」
靴ひもを縛る必要のない「スピードシューレースシステム」というカッコイイ名前の付いたゴム紐が採用されている。普通の丸ゴム紐だけれど…。
最初からゴム紐前提でのデザインだから後付したものと違ってカッコよく決まっているのが嬉しいのと、ゴムだから緩めたり絞めたりという煩わしい作業から解放されるだけではなくて、履くだけでバシッと適正な締め付けをくれる。兎に角脱ぎ履きが簡単なのが最高。
Cloud 5 の種類
フラグシップモデル「Cloud 5」には、幾つか種類があってそれが下記となる。
名称 | アッパー(外装) | 特徴 | 価格(2022.8) |
---|---|---|---|
Cloud 5 | メッシュ | 通気性良好 | ¥15,180 |
Cloud 5 Waterproof | メッシュ+防水メンブレン | 防水透湿 | ¥17,380 |
Cloud 5 Push | メッシュ | Cloud 5 よりサイズがタイト | ¥15,180 |
Cloud 5 Ready | キャンパス+TPU | アッパー下段に保護素材付 | ¥17,380 |
Cloud 5 Combo | キャンパス | メッシュとは違う質感 | ¥15,180 |
万能なのが「Cloud 5 Waterproof」
Onでは「いつでもOn」という「何時でもどんな状況でも履ける靴です」ということをコーポレートスローガンとして掲げているが、それを正しく体現しているモデルが「Cloud 5 Waterproof」。一足ですべてを賄うというなら間違いなくコレ。紹介順違う感あるけれど、まず最初に紹介したくなるくらい無敵だ。
ウォータープルーフの名の通り雨でも雪でも問題ない完全防水。でも防水だから長靴みたいに蒸れるのだろう?という心配も不要。透湿性のあるアッパー素材だから完全に通気性がないわけではない。メッシュ材を使っていないスニーカーや革靴よりよっぽど快適なのだ。また風が強く冷たい日も安心なのが嬉しい。
雨の日は勿論だが、晴れの日だって行ける。天候の怪しい日、旅行など長期に渡る時など困ったときは、コレを選んでおけば間違いないという強さがあるのが「Cloud 5 Waterproof」だ。
「防水」「防寒」を必要としないなら「Cloud 5」
「Cloud 5」「Cloud 5 Push」「Cloud 5 Combo」の3つは、若干違うものの特徴としては、ほぼ同じなので「Cloud 5」として紹介させてもらう。
「Cloud 5 Waterproof」は迷わず履いていける無敵の靴なんだけれど、「防水」「防寒」を必要としないなら「Cloud 5」がオススメ。風の通るメッシュ材が使用されているから、軽量で足ざわりが良く何といっても抜群の通気性がある(Comboは若干劣ると思われる)。柔らかく風が入ってくるので足の温度が上がりにくいし、勿論蒸れにくい。快適だから雨の降っていない日は積極的に履きたくなる靴だ。
汚れを気にせず歩きたいなら「Cloud 5 Ready」
所有していないのだけれど「Cloud 5 Ready」も一応紹介しておこう。汚れやすい部位である下段を覆うようにTPU(スマホケースとかによく使われているゴム質感のあるポリウレタン)が付けられているのが特徴。泥や水ハネを気にせず歩けるという訳だ。
ハイキング・トレッキングシューズとスニーカーの間を取ったような中々の変わりモノとなってる。俺は正直惹かれないのだけれど、ドンピシャでハマる人はハマるモデルなのだと思う。
「Cloud 5」と「Cloud 5 Waterproof」外観比較
本題。「Cloud 5」「Cloud 5 Waterproof」の二つを並べてみていこう。
カラーは「Cloud 5」オールホワイト、「Cloud 5 Waterproof」グレイシャー(灰色)と防水非防水による色味の違いではなくて、違うカラーなので無視して欲しい。サイズは28.0cmで同じで、防水型が100km以上使用した品だから若干汚れている。
Cloud 5 の方がメッシュが薄い
「Cloud 5」網目が粗くやわらかいメッシュ材。
「Waterproof」目が細かくハリのあるメッシュ材。
コレくらい寄ると明らかに素材感が違う感じするけれど、離れて見るとそうでもなかったりする。
ボンヤリ眺めていると気が付きにくいポイントなんだけれど、薄手のメッシュアッパーを使用しているから「Cloud 5」は形状が一回り小さめだったりする。コレがすんごい重要。
アッパーの厚みが違うので「Cloud 5」の方が一回り小さい。そのため履いた時のシルエット、足へのサイズ感ともに違う。細かい詳細は後に貼ってある各個別記事で見て欲しいのだけれど、「Waterproof」は爪先細くて甲や幅は広いという珍しいくらいの謎サイズ感となっているので試着を強く推奨したい。
シュータンの作りが大分違う
アッパー素材に次いで大きく違うのがシュータン。まず分かりやすいポイントがデザインのアクセントとなっているパンチラインの有無と素材の違いだろう。非防水が毛足の短いスエードのような質感なのに対して、防水は固くザラッとした素材感となっている。
そして防水性を高めるために「Waterproof」の方が、若干シュータンが短いのも見逃せないポイントだ。
それに伴ってトゥや側部の補強材の長さも変更されている。地味な違いではあるが、俺は外羽根近くまで伸びている防水型の方が好み。
どちらのモデルもシュータンが外羽根と縫い合わさっているのだけれど、防水型は内部への水の侵入を避けるために甲の高い位置で縫われている。
その影響で爪先から甲までのラインが高くズングリとしたシルエットになっているのが「Waterproof」の明らかに悪いところだ。あんまり悪く言いたかないのだが、爪先から甲にかけてのラインはホームセンターに売っている安い靴のアレ感が若干ある。
甲高な作りになってしまっていることシュータンに若干厚みがあることが起因となって、レースを締めこむとシュータンがシワになって寄りやすいのもよろしくない。次期モデルではシュータンから爪先のラインにかけては、非防水モデルに近づくよう修正して欲しいというのが正直なところ。
ヒールストラップの有無
俺的にはない方がスッキリとしたデザインになるから好きなのだが、「Waterproof」にはストラップが付いている。おそらく意図的な差別化。
内部までシッカリ防水
インソールを抜いてやるとこんな感じ。
下部から水が染みないようにだろうけれど、防水布で覆われているのが特徴だ。防水タイプの方が若干お値段高いのはこういった細かいところまで、加工しているからなのだろう。
重量差は約50g
重量も結構違う。
「Cloud 5」が「245g」
「Waterproof」が「296g」
防水アッパーを使用しているのにも関わらずここまで軽量に収めたことに関心はするのだが、当然ながら非防水の方が軽い。歩行ならあまり気にならない重量差であるが、運動をするのであれば影響は大きい。
というわけでパッと見似ているけれど、結構違う。
機能性を無視して外観だけを見るのであれば、間違いなく非防水の「Cloud 5」だ。
細かい特徴は過去記事で!
各モデルの細かい特徴については、過去レビュー記事に乗せているので参考にして欲しい(宣伝)。
追記:Cloud 5 waterproof 蒸れについて
2023.5時点 何故か「cloud 5 waterproof 蒸れる」「on ウォータープルーフ 蒸れ」の検索トップになってソコからアクセスが多いので補足。
雨など大粒の水を防ぎ、足熱のような水蒸気を通す膜が張られているのが、Cloud 5 waterproof なのだ (有名な防水透湿素材ゴアテックスも同様)。つまりネガティブに捉えると「水粒が入るような大きい穴が空いていない」。
水が入らない割に通気性があるということである。蒸れるか蒸れないかで言ったら当然「蒸れる」。防水だから当たり前。やむなし。
ムレに耐えられなかったら“ヌメ革”のインソールを入れるとイイぞ!見た目の相性は最高に良くないけれど。
自分の用途にあった選択を!
優れた通気性とシルエットのよい「Cloud 5」
オールラウンダーで何時でも履ける「Cloud 5 Waterproof」
無敵なのは「Cloud 5 Waterproof」だ。通気性も低いわけではないし、名の通り水も弾く。特別苦手なシチュエーションがないからどこにだって履いていける。だが「Cloud 5 Waterproof」は、防水性を加えた完全上位互換ではない。「防水」「防寒」を必要としていなければ、迷わずシルエットのカッコイイ「Cloud 5」だ。
どちらも素晴らしい靴だが、どちらにも弱点はある。理想を言うと使い分けなんだけれど、そうお安い靴でもないんで用途を考えて購入していただきたい。
「Cloud 5 Waterproof」の見た目が悪いという話になった感があるけれど、比較せず単体で見れば悪くはない。