アドバンコート"ベース"を購入したので、所有しているアドバンコートと比較してみる。
本来的には同系色を並べて比較するのが定番なのだろうが、同じ色買うメリットは俺にとって一切感じられなかったので別色との比較だ。まあどちらか分かりやすいということで許しておくれ。白い方がアドバンコート(中古)で黒い方がアドバンコートベース(新品)だ。
「アドバンコート」と「アドバンコートベース」について
アディダスの有名なスニーカーには「スタンスミス」がある。そのスタンスミスを模して安価にしたものが「アドバンコート」と「アドバンコートベース」(海外名:アドバンテージ)だ。
その魅力はスタンスミス同様クリーンでシンプルなデザインを引き継いでいるから、いろいろなコーデに合わせやすいこと。そして何よりも素晴らしいのは、スタンスミスの半額近い安価な値段で販売されていることにある。
画像左が「アドバンコート(白)」で右が「アドバンコートベース(黒)」であるが、画像の通り形がほぼ一緒。この商品±1,000円ぐらいの差があるのだけれども、何が違うのかパッと見分からないのだ。Amazonや楽天のようなWeb販売は特に。
そこで今回は「アドバンコート」と「アドバンコートベース」何が違うのよ?ってのを紹介する。
アッパー素材の違い
1番の違い。それはアッパー(外装)素材の違いにある。
アドバンコート(白)が牛の「天然皮革」で、ベース(黒)がビニールを使用した「合成皮革」。
各素材のメリットデメリットをまとめたものが以下。
天然皮革のメリット・デメリット
天然皮革のメリット
1.伸びやすい(馴染みやすい)
2.耐久性が優れている
3.通気性が良い
4.経年変化が楽しめる
天然皮革のデメリット
1.水や汚れに弱い
2.手入れが必要
合成皮革のメリット・デメリット
合成皮革のメリット
1.水や汚れに弱い
2.手入れがほとんど必要ない
3.安価
合成皮革のデメリット
1.伸びにくい(馴染みにくい)
2.通気性が悪い
3.ひび割れが起こる
スタンスミスで使用されているプライムグリーンのようなコストのかかった合皮であると、近くで比較しなければ分からないほどの質感になるのだが、このベースで使用されている合皮は昔ながらのどう見てもビニールなやつ。
履いた時の快適性やビジュアルは、圧倒的に本革であるアドバンコートが上。見た目もよく、柔らかく合皮より自然に曲がり、蒸れにくく快適。ただしベースは合皮最大のメリットコストパフォーマンスがあるし、水にも強い。一長一短。俺は圧倒的に天然皮革が好き。
アッパーとソールの継ぎ目の違い
一見分かりにくいのだが、アッパー(外装)とソール(ゴム底)の継ぎ方が違う。
アドバンコートはソールの溝に糸が通っており、ベースはただの溝で何もないのが分かるだろうか。アドバンコートはアッパー(表皮)とソール(底)を紐で縫い合わせ、接着剤を更に付けているという構造であるのに対して、ベースは接着剤で貼り合わせているという構造。
これは大きなポイント。アッパーの素材に目が行きがちだが、軽視してはならない。ベースの接着剤で貼り合わせている構造は、耐久性面で非常によろしくないのだ。縫い合わせているものと比較すると、耐久性は半分以下だろう。実際Web上の購入者のレビューには、アッパーとソールが分離したという声もあった。
無論コストがコストなので、仕方がないかな?っていうところもあるのだが、ベースは長期的にあまり期待できないことは確か。
シュータンの違い
比較的分かりやすい違いだが、シュータン(ベロ)素材が違う。
アドバンコートが「革素材+裏布メッシュ」でベースが「布メッシュ」だから結構印象は違う。
俺の主観でしかないが、実用上の使い勝手はあまり違いないように感じる。どちらも履いた時に、巻き込まれにくい良い構造だ。
シューレースホールの違い
地味なところであるが、シューレースホール(靴紐通す穴)が違う。
アドバンコートは、スタンスミスのようにホールにハトメ(樹脂のリング)がついており、ベースはついていない。ハトメがあるとホールが広いお陰で通しやすく、レースも傷みにくいというメリットがある。ないと摩擦抵抗があるゆえ、通しにくいデメリットとホールがあるよりも若干緩みにくいというメリットがある。
アドバンコートはスルスル紐が通せるのに対して、ベースは穴の作りが小さく形もあまり良くないから紐通しがやり難い。ハトメが付いている方が絶対に良いという訳でもないのだが、コストがかかるのは付いている方。勿論見た目に与える影響も些細だがある。
インソールの違い
インソールと内部素材も違う
アドバンコートに入っていいるインソールには「Cloud Comfort(クラウド コンフォート)」というアディダスのランニングシューズにも使用されているクッション性がある素材。それに対してベースは、裏面ベタベタに両面テープついた硬いインソールとちゃっかりケチっている。
インソール下の内張りも違うので、インソールを入れ替えたら完全に同じとはならない。アドバンコートはインソール同様の柔らかクラウドコンフォート素材で、ベースは硬い布。
「柔らかい素材=快適」というわけではないのだけれども、ランニングシューズ使用素材は何やかんや伊達ではない。快適なのは圧倒的に、クラウドコンフォート搭載のアドバンコート。
ほんの少し形が違う
非常に分かりにくいポイントなのだが、ややサイズが違う。
本当に"やや"だからアドバンコートとベースで履くサイズが、変わるとかそういうものではないのだが違うのは確か。膨張色白と収縮色黒で分かりにくさが増して申し訳ないが、アドバンコートの方が全体的にコンマ1mm程大きいのだ。ノギスで測ったから間違いない。
恐らく意図したものではなく、アッパー材の違いにより生じたものだろう。上記画像でもアドバンコートが若干厚みがあるのが分かるだろうか?だから微々たるものであるが、見た目がアドバンコートの方がシルエットが太く見えるし、実際中の作りが広い。
シルエットが細く見えるベースの方が俺は好き。
重量の違い
アドバンコートよりベースが簡素化している故に得られたものがある。それが重量。
同サイズ27.0cmでアドバンコートが「403g」、アドバンコートベースが「353g」。なんと「50g」も違うのだ。ローカットスニーカー的に標準は「350g」辺りであるため、ベースは標準的で、アドバンコートはやや重い。
天然皮革の柔らかさと、クラウドコンフォートソールのお陰で快適性はアドバンコートの方が上であるが、同一サイズでここまで重いのはよろしくないのは確か。
まとめ [ アドバンコートのコスパは異常 ]
「アドバンコート」と「アドバンコートベース」の違いをまとめると…
アドバンコート(DBH42) | アドバンコートベース(EOT69) | |
---|---|---|
アッパー | 天然皮革 | 合成皮革 |
アッパーとソールの継ぎ目 | 縫い付け×接着 | 接着 |
シュータン | 天然皮革×布メッシュ | 布メッシュ |
シューレースホール | ハトメ付き | ハトメなし |
インソール | クラウドコンフォート | ノーマル |
サイズ感 | やや大きめ | やや小さめ |
重量(27.0cm) | 403g | 353g |
値段(実売) | ¥4,000前後 | ¥3,000前後 |
アッパー素材の違いが注目さているけれども、結構細かいところが違う。
アドバンコートベースは値段が実売3,000円付近とお安いので分からないことはないのだが、値段なりのポイントが目立つ。値段が値段だしベース単体で見ると、そう悪いものではないと思っている。しかし不幸なことにアドバンコートが実売4,000円ぐらいなのだ。
天然皮革がメイン素材で、細かな改善点が多く、全体の作りも非常に良い。それが2021年度現在だと差額+1,000円程で買えるからベースが悪く見えてしまう。
アドバンコートベースも悪くはない。カラーラインナップも豊富である。ただアドバンコートのコスパが異常。だからアドバンコートが俺のオススメ。
2024.5 追記
2024.5月現在だと記事を書いた時とラインナップが入れ替わっていて…
「アドバンコート」は天然皮革ではなく合皮に変更されており、モデル型式は「GZ5○○○」。紹介した天然皮革の「DBH」は購入が難しい。
「アドバンコートベース」はほぼ変わらずモデル型式「GW2○○○」となっている。
「Amazon」の商品名称欄は超適当なので、サイズ下の型式や素材で確認をして欲しい。