前記事に引続きプーマスニーカーの定番スウェードのレビューだ。前回は「SUEDE VTG(スウェード ビンテージ)」についてだったのだけれど、今回の対象は「SUEDE VTG MIJ (スウェード ビンテージ MIJ )」という日本製スウェード。
実際のところコチラの商品を先行購入していたのだが、順番的には当然コチラが後だろう。なんてったって「スウェード ビンテージ MIJ 」は、プーマスウェードにおける現状の最高品質・最高値モデルと言っていいからだ。
さてプーマスウェード最高モデルはどんなもんか見てみよう。なお当レビューでは、ややこしくならないようにシューズを指す場合は「スウェード」、素材を指す場合は「スエード」とさせてもらう。
前記事「プーマ スウェード ビンテージ」レビュー。当記事はその続編的な感じになっているのでコチラも読んでくれると幸いだ。
プーマ スウェード ビンテージ MIJ について
1968年にトレーニングシューズとして誕生した「PUMA SUEDE」。80年代には数々の有名アーティストたちに愛用され、ヒップホップカルチャーやスケートシーンに欠かせないマストアイテムとして、世界中にその名を広めました。50年以上もの時を経てもなお、あらゆる世代に愛され続けるその不変のスタイルは、スポーツシーンのみならず、ファッションや音楽、アートなどのカルチャーシーンに絶えず影響を与えています。
そんなプーマの歴史と共に歩んできた名作の中でも、最高峰に位置するのがMADE IN JAPANモデル「PUMA MIJ」。厳選された素材を使い、匠の技が光る国内工場で生産されたコレクションです。単に名作を復刻するのではなく、そのヘリテージに日本ならではのこだわりを持ってアレンジを加え、日本由来の素材の魅力を最大限に生かしながら丁寧に製作されています。
https://jp.puma.com/jp/ja/home
最初に今回レビュー対象の「プーマスウェードヴィンテージ MIJ 」について紹介しておこう。
プーマジャパン公式の引用としては上記の通りで「前回スウェードヴィンテージ(ノーマル)のレビュー」で触れたが、1968年時点では「PUMA SUEDE」という名ではなかったはず…とか細かいことは気になるものの今回はスルー。スウェードは、歴史あるプーマ最大の代表的スニーカーなのだ。プーマスニーカーと言ったらスウェード!
スウェードはプーマスニーカーの定番である故色々種類があるのだけれど、2022年4月上旬現在特に抑えておきたいスタンダードなものは以下3種類となる。
- スウェード ビンテージ MIJ :80年代モデルベース 日本製(定価:¥ 20,350)
- スウェード ビンテージ:80年代モデルベース(定価:¥ 11,000)
- スウェード クラシック XXI :90年代モデルベース(定価:¥ 9,790)
そして今回レビュー対象の「スウェード ビンテージ MIJ(SUEDE VTG MIJ)」は、『厳選された素材を使い、匠の技が光る国内工場で生産された、プーマの中でも最高峰のコレクション』ということで、プーマジャパンが日本国内で生産しているスウェード。故にMIJ(Made In Japan)。スウェードの中でも特別で、値段も2万円と通常モデルより2倍近い高価なモデルだ。
そして『そのヘリテージに日本ならではのこだわりを持ってアレンジを加え』ともある通り「スウェード ビンテージ MIJ 」のベースとなっている「スウェード ビンテージ(ベトナム産)」と形状がチョイチョイ違うので、比較しながら今回は見ていこうと思う。その方が単品で見るより魅力が伝えやすいし、レビューする方としても楽だからね。
なお母国産だったりメーカー創業地産だと何となく嬉しい感情にならないことはないが、重要なのは産地ではなくて商品の出来。日本製だから!という点で評価は上げないので宜しく。
プーマ スウェード ビンテージ MIJ レトロ 外観
では早速「スウェード ビンテージ MIJ」をグルリと全体的に見てみよう…
正面
「プーマスウェード」の名の通りスエード素材。
背面
後ろには定番プーマキャットロゴ。
側面
外側の側面には、金色のプーマNo.2ロゴとプーマスニーカーの特徴であるストライプ「フォームストリップ」が濃紺色で入っている。
内側はストライプのみで金ロゴはない。
ソール
…とまあこんな感じのスニーカーだ。
俺の購入したのは「(赤)×(濃紺)」とド派手なカラー(品番: 380537_02)。赤の色味は80年代販売されていたものを相当に意識して作成されたらしい。深く濃く素晴らしい色合いだ。
コーディネートとしては、コレを主役に服を無彩色に仕上げるか、同系色の服で合わせこむのが王道だろうか?取り回しの良いカラーではないわな。でもカッコいいから買っちゃった。
まぁグルっと見ただけでは普通のプーマスウェードスニーカーと対して変わらないように見えるだろうから、続いて魅力的な部分をノーマルのスウェードヴィンテージと比較しながら見ていこう。
アッパーには姫路レザー使用
アッパーには「姫路レザー」日本兵庫県姫路市で生産されたスエード素材を使用している。ヨーロッパ製のスエードを姫路で染めているとのこと。
実際見て触れてみると成程素晴らしい!1万円台のスニーカーではない上質な素材感だ。色合い深く、毛足は程よく長く、触れるとフカフカと厚みを感じる。質の良いスエード素材らしく指でなぞると跡が残るのも特徴だ。
しかし厚みと毛足が増したためか、空気を逃がすための穴ベンチレーションホールが場所によってシッカリ開けられていないのと…
金色のプーマNo.2ロゴプリントが上手く乗っていないのは、気になるところだ。減点!!
恐らく個体差があると思うので、店舗で気にしてみるといいだろう。
スウェード ビンテージとMIJの違い
写真だと分かりにくいが、ノーマルのVTGと比較するとその見た目手触りの違いが明らか。ノーマルも天然皮革であるため悪くはないのだが、並べると絶対的に姫路レザーのMIJが上だ。
ヒールステーが立っていてカッコいい
公式紹介『そのヘリテージに日本ならではのこだわりを持ってアレンジを加え』の通りいくつかノーマルVTGからアレンジしているポイントがあるのだけれど、一番目立つポイントはココである。
MIJは、ヒール後ろ頭頂部が通常モデルより立っているのだ。スウェードの歴史的にここは、丸い形状であるため丸めた方が正解なのかもしれないが、俺は立っていた方が好み。素晴らしいアレンジだ。
スウェード ビンテージとMIJの違い
明らかに違うのが分かるだろう。オリジナルの丸い形状も嫌いではないのだけれどね。
縫い付けの糸はトーン配色
サイドの外装と内装を縫い付けるためのステッチにコダワリが炸裂している。
アッパーとプーマフォームストリップ(濃紺のストライプ)の上に"く"の字に糸が入っているのだけれど、これ糸の色が途中で変化しているんだ。公式では「コントラストステッチ」と呼んでいる。アッパーの赤色とストライプの濃紺に合わせて糸の色を変え縫い目を目立たなくするというテクニカルさ。素晴らしい。
ただしMIJ全モデルに採用されている訳ではなくて、現状は「スウェード ビンテージ MIJ "レトロ"」のみの採用となっている。「コントラストステッチ」が採用されているモデルが欲しい人は、事前に側面を見て確認して欲しい。
スウェード ビンテージとMIJの違い
ノーマルVTGと比べると分かりやすいだろう。VTGはストリップ側に色を合わせているからアッパー上に薄灰色の糸が通っている。対してMJIは、糸の色を途中で変えているからステッチが目立たない。
俺はステッチが目立っているのも好きではあるが、技術とコストかかっている感はMIJが上。
シュータンの作りも上質
シュータンに縫い付けられているプーマNo.1ロゴも、1万円台のモデルで使用されているペラペラな布と違い凹凸がややあるものが縫い付けられている。
シュータン裏も作りこまれており、クッション布とスポンジ素材の枠が付いている。そして大きめの金色「MADE IN JAPAN」(重要)。勿論柔らかく足当たりも良好。
スウェード ビンテージとMIJの違い
ラベルは比較すると明らかに立派。ノーマルVTGはペラペラだけれど、MIJは立体感がある。
裏も勿論MIJの方が優れている。ノーマルVTGは合皮、MIJはファブリッククッション。
そして何気にMIJは、シュータンについているレースホールの位置が1段上になっている。コレによってシュータンが靴の中で下がるのを避けれる訳だ。靴の脱ぎ履きが多い日本らしいアレンジ。
カップソール構造採用
靴の内部の構造も気合いが入っていて、昨今のスニーカーらしくない剛性堅実な仕上がり。実際硬い!足方に合わせたカップソールが採用されている。ガッチリ足に合わせて固定する革靴の様なスタイルだ。
スウェード ビンテージとMIJの違い
ノーマルVTGが柔らかいインソールであるのに対して、MIJはカチカチのカップソール。履き心地は好みの問題かな?俺的にはトントン。
(意見訂正:全くトントンじゃねぇわ。嘘。MIJのインソールは、アーチサポートがカッチリして足がブレないから圧倒的に疲れにくい。)
なお結構というか殆ど変わっているMIJであるが、ソールラバーはまったく同じものが採用されている。
シューレースは2色付きで品質も良好
シューレースは、アッパーとフォームストリップの色に合わせた2色付属しているから、靴の雰囲気を変えられる。あとレースの品質も良いのが何気嬉しい。多分コットン素材。
ただしこの紺の紐は、ほぼ黒に近い側面濃紺ストライプとの相性は良くないかな?チョイと明るすぎる。
スウェード ビンテージとMIJの違い
ノーマルVTGのレースはボソボソで好きじゃなかった。こちらのネイビーのレースを頂くことにする。
プーマ スウェード ビンテージ MIJ の気になる点
ここまで好印象な感じでレビューしてきたプーマスウェードビンテージMIJであるが、一般人目線を取り戻して冷静に見てみると結構欠点が多い。
俺は部屋にスニーカーを飾るとか、そういうレベルのマニアではないので一般人に近いはず。…多分。
お値段高いよ… 定価¥ 20,350(税込み)
MIJの欠点は定価¥ 20,350(税込み)であることだ。日本製で拘りのレザーや形状を使用しているから悪くないと思ったのだけれど、冷静に見るとやはり2万円は高くね?
ノーマルのベトナム製スウェードVTGが1万円で、そんなに悪かないのよ。このレビューでは比較対象として劣っている点を挙げたのだけれど、MIJと"1万円"の差があるかというとそうでもないと思う。1万円だぜ!俺はノーマルVTGを推奨したい。
MIJは色が個性的なものが多い
MIJの値段がお高いのはプーマ側も承知の上で、このモデルは基本的にスニーカーマニア向けである。故にカラーラインナップがかなり個性的。これもかなりの欠点。
ブラック×シルバーやグレー×ブラックなど微妙に王道と違う奴。当レビュー対象レッド×ネイビー、画像のパープル×イエローとかやたらと変化球かつ濃い色が多いのだ。そういう点でもノーマルVTGを俺は推奨したい。
MIJは値下がりする
これはプラスでもありマイナスでもあるのだけれど、MIJは大体値下がりする。半額ぐらいになる。俺は1万円チョイで購入した。やはり定価は高いし、色は一般人視点で見ると癖があるのだ。
だから明らかに売れそうだって限定モデルや色以外であれば、少し待ってから購入した方がいいだろう。購入した商品が半額になっているのを見るのは嫌でしょう?
ライニングは"合皮" 2万円で合皮…
2万円は高くね?という欠点を出したのには、もう一つ大きな理由がある。最大の欠点がある。ノーマルVTG同様にMIJも内張り(ライニング)素材は残念ながら合皮ことフェイクレザーなんだよ。どうしても合皮を使用したい模様。もう馬鹿なのかよ…。姫路レザーとかカップソールと拘る前にここじゃない?
合皮があまり世間で好かれていないのは、見た目以外にも問題があるからなんだ。ビニールだから感触は良くないし、なによりヒビ割れして長期的に持たない。
踵という接触の多い部分に対して、通気性皆無かつ確実にひび割れする合皮を付けるんじゃねぇ!馬鹿野郎。1万円でもどうかと思ったのに、2万円で理由もなく合皮はないわ。
なおノーマルVTGと違い余分な部分をカットしているのは「〇」。
プーマ スウェード ビンテージ MIJ サイズ感
最後にみんな気になるサイズについてだ。同じプーマスウェードであるため「前記事」をほぼ丸々流用させてもらおう。
プーマのスニーカーは、きつい、小さい、せまい、という声が多く見られる通り、横縦幅共に少しタイトな作りである。加えてトゥがコンパクトであるため爪当たりを起こす可能性が高い。結構特殊なのでプーマスニーカーを履いたことない人は、店頭で試し履きをして欲しいところ。
縦横の圧迫が強すぎないか、小指の接触が不快ではないか注意して欲しい。甲高、幅広の足に該当する人やゆとりをもって履きたいは、普段の靴よりハーフサイズアップするのが確実だ。俺の場合はアディダス、ナイキ、アシックス、コンバースのスニーカーとサイズを変える必要はなかったが、一番圧迫感があったのはコレ。
…とココまでが前回記事完全コピペなんだが、「スウェードクラシック(ノーマル)」と「スウェードMIJ」は微妙にサイズ感が違う。姫路レザーアッパーとカップソール採用をしているためか、ベースモデルである「プーマスウェードクラシック」よりコチラの方が全体的に僅かにゆとりがある。少しだけれど爪先、横幅、甲の締め付けがMIJの方が緩い。
プーマスニーカーを普段から緩めに履いている人は、ハーフサイズダウンしてもよいかもしれない。
母国愛とコダワリに2万円を払えるか
「プーマ スウェード ビンテージ MIJ」は、メイドインジャパンで細部までコダワリ抜いた外観を持っているスニーカーであった。品質の良いスエード素材やノーマルVTGより改善した部分も多く見どころも多い。だが2万円でライニングに合皮が使用されているのは考え物。
俺はレザー素材や構造変化でウキウキ出来るタイプだから満足しているのだけれど、一般的には違いわかりにくいし「スウェードビンテージ(VTG)」と「スウェードクラシック XXI」で十分なんじゃないだろうか?
値下がりしていたり、日本製であることや細部のコダワリにグッと来たなら「スウェード ビンテージ MIJ」を購入してみるのもいいだろう。詰めが甘いけれどイイものではある。
色の入替わりが激しいのと、通常価格が高いこと、値下がりの可能性が高いのが難。
俺的にはバランスの取れている「スウェードビンテージ」が一番オススメ
クラシックも悪くはない。一番安いし。ただシュータンを初め全体的に少し厚いため、シルエットが上2モデルほどスッキリしないのが弱点。