「AKG N200A WIRELESS」を購入してから何やかんやワイヤレスイヤホン便利だなと思ったので、流行りの完全ワイヤレスステレオ(TWS)イヤホンを購入した。選んだのは新興企業Nothingのワイヤレスイヤホン「ear(1)」。今の所メーカーから提供を受けたレビューが多いし、実機店舗販売されていないので結構ギャンブル。
自腹かつメーカーとのコネクションゼロな俺が、いつもの通り忖度なしで評価していく。
Nothing(ナッシング)は新規ブランド
Nothingはロンドンを拠点とするデジタル製品企業で、人と技術の間にある障壁を取り除き、シームレスなデジタルの未来を創造することを使命としています。
NOTHINGでは、芸術性、信頼性、そしてクラフトマンシップを重視した象徴的な製品を開発することで、テクノロジーに情熱を取り戻したいと考えています。最終的には、自分の家族や親しい友人と共有することを誇りに思える製品を作りたいと考えています。
NOTHINGについて – Nothing Japan
Nothing (ナッシング)は、OPPO傘下のスマホブランドOnePlusを立上げた一人であるCarl Pei(カール・ペイ)氏によって2020年10月設立された企業。前職OnePlusでの功績から多くの著名人やファンドから資金を調達してるのが特徴だ。新しい企業なのに公式サイトがやけに整っていたり、メディアやユーチューバーにサンプル品盛大にバラまいているのは、そういった背景があったりする。
まあ購入者サイドとしては、あまり深く考える必要はない。創立者が前職のコネと資金を持っているのもあって、比較的成功率が高そうな新興企業という事だ。そんな期待の新星Nothingがリリースした最初の製品ワイヤレスイヤホン「ear(1)」を見てみよう。
Nothing ear(1) の詳細 [ 全部入りワガママ性能 ]
ear(1)スペック
ドライバー:11.6 MM ダイナミック
機能:アクティブノイズキャンセリング
Bluetoothコーデック:AAC & SBC
防水:IPX4/6
充電:USB-C/ワイヤレス充電対応
定価:¥12,650(税込)
上記が大凡の諸元なのだが、つまりNothing ear(1)は全部入り低価格ワイヤレスイヤホン。「ワイヤレス接続」「ノイズキャンセリング」「外音取り込み」「簡易防水」 「無接点充電対応」「低価格」と機能モリモリなのが特徴だ。
未来感?レトロ感?あるクリアなデザインがイカス!
攻めたオシャレパッケージ!
パッケージは背景真っ黒にイヤホンの写真ドカン!!
本体外観に相当自信がなければ、この見た目にはしないな。ガチャガチャ文章が付いているパッケージが好きじゃない俺としては好印象。
このパッケージの面白いところは、このイヤホン写真がプリントされた厚紙を菓子の包装、タバコの包装のようにビリビリと破いて開封するところだ。日本人には、嫌な人多いか?
箱もいい感じで保管して置きたいもしくは、売却する可能性も考慮して綺麗に開けたいという場合には、糊付けされた底面を剥がした方が良いだろう。
綺麗に開封したいそんな欲求も掠めたが、パッケージデザイナーの意図を汲みたい。…ということで、俺は容赦なく破きました。中にはあえて何も書いていない銀色一色な厚紙製内箱。
開封するとこんな感じで、商品とご対面。王道だけれどもイイね。
付属品は「イヤーピース3種」「USB Type-A to Cケーブル」「説明書/保証カード」
USBケーブルの長さは「約30cm」と短く、持ち運びに特化している。配線が光沢感のあるホワイトカラーとケーブルデザインも抜かりなし。
充電ケースもクリアでオシャレ
さて本体の外観を見てみよう。まずはケースをピックアップ。そう充電ケースもクリアでオシャレなのだ。現状他のメーカーでは見られない、収納しているイヤホンが透けて見える作り。
レンズのような窪み部分は、蓋を開ける取手なのだが実用性は皆無。浅いし滑ると完全に見た目だけ。だが気にすることでない、何となく見た目が良いし、ケースフチから開けれるので無問題。
ケースからイヤホンを外した状態。
開閉ヒンジは、バネの力を利用したもの。パチンと小気味良い音を立てて閉まるのが気持ちいい。磁石によって固定されるため、カバンの中で勝手に開くような事はないだろう。
底には左右を識別するため赤と白のドットが表示されている。映像音響機器でお馴染みRCAケーブルの配色を参考にしたものらしい。
ケース裏は、諸元がドットで書かれているのがオシャレ。
邪魔をしているのがクソデカ通信認証マーク。こういうのマジで止めてくれよぉ…。スマホだと内部設定で表示することで、本体プリントすることを回避できるけれども、イヤホンはそれが出来ないからこうなる。WEEE指令のゴミ箱マークとか最悪。ホント嫌。なおココに日本無線通信規格「技適マーク」はないが、商品外装の方に記載があるのでご安心を。
ケース側面には接続に使うペアリングボタンと充電用のUSB Type-Cポート。GoogleのFast Pair機能が搭載されいているから、Android端末であればペアリングボタンを使わず、ケースを開けて近づけるだけで接続できるのもAndroidユーザー的には嬉しい。
充電中に光るランプが赤丸とデザインの一貫性に感動。勿論Qiワイヤレス充電に対応している。
ネガティブなことを書いておくと、ガラスではなくてアクリル樹脂外装だから"高級感"を感じさせるものではない。形こそ斬新で巧みだが、100均で売っているようなクリアケースと素材感は同じ。
あと傷に対して強くはないし、埃が入り込むと当然そのまま透ける。綺麗なビジュアルをキープするのには、気を使わなければならないのが難点。
ear(1)はクリアと非クリアの使い分けが光る
形状は俗称うどん型と言われているAirPodsとかと同様のタイプで、比較的コンパクトに纏まっている。
全長は約30mm、奥行きは20mm。またイヤホン側は防水企画「IPX4(生活防水)」を取得しているため、軽度の雨や汗に耐えてくれるのが頼もしい。
見所のクリアパーツが使われたステム。ケース側同様左右を識別するため赤のドット(左は白)が、実用とデザイン的にイイ感じ。 「Nothing ear(1) 」とドットで書かれているが、これは電子機器の基盤をイメージしたモノとのことだ。
内部基盤スケスケのステム裏が堪らんね!未来感あるデザインだと評されているが、俺はゲーム機がやたらとクリア押しだった頃の世代だからレトロを感じる。別に動くわけでもなんでもないのだけれど、基盤が見えるのってなんか堪らない。
ハウジング部はクリアではなくホワイトで、ステムのブラックとの相性抜群。やたらとクリアパーツ連発せず、使い分けている辺りが上手い。
音漏れはあまりしない方であるが、音が籠もらないように、小さな穴が空いているため完全に漏れないわけではない。注意して欲しい。
ノズル開口部がパンチングメタルなのがカッコいい。
重量は軽く、装着感は良好
- イヤホン単体「5g」
- ケース「58g」
- イヤホン+ケース「67g」
本体重量は5g(公称4.7g俺のはかりじゃ測れないけれど、多分合ってる)と軽量なお陰で着けて重量が気になるということはない。装着感も楕円形のボディ形状の影響か、カナル型タイプにしては軽く、ステムを持ちながら簡単に着脱できるのがイイ感じ。
軽量なイヤホンであるが、ケースは特別軽くはない。アクリル樹脂がそこそこ厚めなのと、バッテリーや無接点充電の機構などが詰まっているためだろう。仕方ない。
Nothing ear(1)の音質と使用感
ear(1)の音質は微妙。…まあ聞ける
ドライバー | 11.6 MM ダイナミック |
Bluetoothコーデック | AAC & SBC |
Bluetooth バージョン | v5.2 |
イヤフォン本体にはこの価格帯としてはボチボチ大型な11.6mmのドライバーが搭載されており、音の調整はスウェーデンの音響機器メーカー「Teenage Engineering(ティーンエイジ エンジニアリング)」が手掛けていると期待出来そうな感じであるが、音質は…まあ正直微妙。商品サンプル提供を受けているユーチューバーやブロガーの反応が渋いのも頷ける。彼らも意外と忖度なしで、商品と向き合ってるなと感心した。いい音しているって評価している奴がいたら、嘘つきか糞耳。
でも悪いわけじゃない。だってコレ「低価格」で「ワイヤレス」「ノイズキャンセリング」「外音取り込みマイク」「簡易防水」「デザイン拘りました」って全部盛りなんだ。こんなもんだよ。音の傾向としては、高低音の強い所謂ドンシャリ。大体有線イヤホン3,000円代ぐらいのクオリティかな?昔みんな挙って使ってたipod付属のEarPodsより俺は好き。音質拘るなら同価格であれば単機能、全部欲しいならもっと金払うしかない。
あと気になるのは対応Bluetoothコーデックは「SBC / AAC」のみと、高音質低遅延と言われている「aptX/LDAC」等に対応していないところだろう。だが俺はあまりシビアに考えなくてもいいと思っている。何故かと言うとコレのような低価格全部入りワイヤレスイヤホンで、コーデックによる音質変化なんて些細なことだからだ。どうせドライバ性能的に鳴らせない。
ノイズキャンセリングと外音取り込みは"まあまあ"
ノイズキャンセリングと外音取り込みは、この商品が1万円中盤であり有名メーカー3万円台とは違うということを認識しておけば、まあまあ実用的なんじゃないかと俺は思う。
まずノイズキャンセリングは、アプリで「Light」「Maximum」の2段階切り替えが出来るが「Light」は微妙すぎなので「Maximum」一択。 小さいノイズは大凡カバーしてくれるし、電車走行音等の大きな音も結構小さくなる。音楽と並行してすれば、効果は上々。完璧を求めなければ十分使える域にある。
外音取り込みは、自分に対しての話し声や車の走行音は集音できるため一時的に外音を聞く程度の使用であれば問題ないだろう。ただ集音マイクの性能が低い故に小さな物音は拾えないし、音量が不自然で立体感がないのは確か。
使えるレベルにはある。だが期待し過ぎないことだ。
バッテリー持ちはボチボチ
バッテリー持ちは、軽量小型なのもあって長時間持つ方ではないのは確か。「バッテリー持ち」=「バッテリーのサイズ」で大凡決まるから当然ではある。物理的に仕方ない。
- 音再生のみ:4時間46分
- 音+ノイズキャンセリング大:2時間47分
- 10分充電 音再生のみ:2時間12分
上記は実際に俺が使って確かめた結果。カタログよりは多少劣る。
アクティブノイズキャンセリングを入れると集音マイクが働くためガッツリ持続時間が落ちる。だがケースに収納すれば、短時間で回復するから十分ではないだろうか。俺的にはOK!
遅延が結構気になるレベル
ワイヤレスイヤホンである以上若干の遅延は付いて回るのだが、ear(1)は特別遅延が気になる。このイヤホンをレビューするにあたって、家電量販店に売っている殆どのイヤホンを視聴してたのだけれども、コイツほど遅延するやつ中華クソ安イヤホン含めない。トップクラスの遅延性。
動画でもコンマ数秒遅れてる感はあるし、BGMの切替えや効果音が鳴るゲームだと完全にワンテンポ遅れている。昨今のワイヤレスイヤホンとしては完全に遅っせぇわ。接続安定性を捨てた低遅延モードが搭載されているが、使っても駄目だ。音楽視聴はOK、動画視聴ギリOK、ゲーム完全NG。ソフトウェアアップデートで何とかなるかもしれないが、今のところ微妙。(アップデートで改善されボチボチいい感じになった。)
操作性はイイ感じだが、カスタムしたい
ear(1)の使用感としてはケースを開けて取り出すと即ペアリング、本体に触れるとボリューム変更したり再生停止したり出来るよくある機能を搭載しているが、その感触は良好。この価格帯でスワイプ操作対応なのも評価したい。
あとペアリングやノイズキャンセル入切した時に、「ピロン♪」と鳴るだけで喋らないのが俺的に好み。
ただ見逃せないのが下記。
- タッチ操作のカスタム性が低い
- たまに接続が切れる
専用アプリケーションによるカスタム性低すぎ。 外音取り込みにサクッと切り替えられるようにしたり、色々弄りたいのだけどなぁ…。痒いところに手が届かないのが勿体ない。あと稀だけれども接続失敗するのはイカンな。
Nothing ear(1)は見た目がウリ
音質評価が若干辛口気味になってしまったが悪くはないんだ。「ワイヤレス接続」「ノイズキャンセリング」「外音取り込み」「簡易防水」 「無接点充電対応」と機能モリモリだし、1万円弱に抑えられた優れたコストを持っている。どの機能も高評価は出来ないけれども十分使えるレベルにはあるのだ。全部入りで高性能低価格なんて無理。こんなもん。
そもそもNothing ear(1)で重要なのは機能ではない。その唯一無二なクリアパーツに覆われたオシャレデザインだ。細部まで緻密に考えられた優れたデザインだ。見た目にビビッと来たらソレでイイじゃないか!俺の場合完全に見た目買い。 Nothing ear(1) は、そのデザインを楽しむための商品だ。
俺の購入した時点ではホワイトカラーのみだったが、ブラックが追加された。
音質はドッコイだけど、ノイズキャンセリングの性能は上だった。流石Ankerコスパの鬼。
だが「beats」を意識したであろう謎の「d」ロゴが俺好きじゃない。