雨の日に羽織るジャケットを新調したい。ならば超快適防水透湿素材ゴアテックス一択!安くて性能のいいモンベルだぜ!って言うのがいつもの流れなんだけれど少々冒険することに。JACK WOLFSKIN(ジャック ウルフスキン)なるメーカーの「JP CITY TREK JACKET」を購入してみた。
当記事ではジャケットそのものより「ジャック ウルフスキン」というブランドと独自防水透湿素材「Texapore(テキサポール)」についてピックアップして紹介していく。
JACK WOLFSKIN(ジャック ウルフスキン)とは?
若き日のウルリッヒ・ダウズィンは、まだ学生であった1981年にドイツ・フランクフルトで前身となるホビットアウトドア用具会社をスタートさせた。そして、旅先のカナダ・ユーコンで狼の遠吠えからインスピレーションを得て、狼の毛皮のようにどのような環境や天候でも快適に過ごせるアウトドアギアを作りたいという思いから、1982年からトレードマークであるPaw(狼の足跡)をロゴとして使い始め、1983年にJACK WOLFSKINというブランド名が生まれた。
https://www.jackwolfskin.jp/brands
上記公式サイト引用の通りジャック ウルフスキンはドイツのアウトドアブランドだ。現在はアメリカのCallaway Golf Company(キャロウェイ ゴルフ カンパニー)が全株式を取得しておりその傘下にある。
世界に600を超えるジャックウルフスキンの店舗があり、そのうち250店舗ほどがドイツにあるとのこと。実際ドイツでは結構人気があるみたいで、ニュースやグーグルマップに写っている人の衣類には、ジャックウルフスキンのロゴがチラホラ見られた。
日本では親会社であるキャロウェイゴルフ日本法人が展開している。
ジャックウルフスキンはダサい?
そんなジャーマンブランドなジャックウルフスキンであるが、ググってみると何ということでしょうか。2022年9月現在サジェスト(予測変換)上位に「ジャックウルフスキン ダサい」が来てしまう有様。誰の恨みを買ったのだ。
そこでドイツ公式Webサイトにあるラインナップを見てみたけれど、ウ~ン確かにオシャレなブランドではないなという印象。ドイツブランド各社が武器としているシンプルで洗練されたデザインって訳でもないし、小洒落たヨーロピアンな雰囲気もない。
ドイツWebから離れて我らが日本公式Webサイトに戻ろう。ジャックウルフスキンジャパンでは、ネームの前に「JP」と付く日本独自モデルと本国レギュラーモデルの一部をして販売している。販売網の関係もあるのだろうが、日本でも売れそうなモデルをピックアップしているという訳だ。
全体的にそもそも何というかアレね…保守的過ぎて黒と茶に寄り過ぎぃ。商品の購入にあたっては、ジャックウルフスキンを専門に取り扱っている店舗に行ったのだけれど衣類のカラーが暗いから店舗も華がない。こんなに暗いカラーの店中々ないくらいだ。
機能性最重視!デザインは出来たらやる的なアウトドアブランドあるあるを強く感じる。分かりやすく他ブランドで表現するとノースフェイス系かモンベル系かどっちかというとモンベル系なデザイン。オシャレブランドとは口が裂けても言えない。
でも大丈夫!!何故かって?「ジャックウルフスキン=ダサい」が結びつくほどブランド認知されてない。取扱店少ないし、主流のアウトドアブランドを避けるようにググってやらないと出てこないものコレ。好きの逆は無関心とはよく言ったもんで、このブランドのイメージは「ダサい」でも「カッコいい」でもなく「無」と言っていいだろう。もっとセールス頑張れキャロウェイゴルフ日本法人!!
ある意味現状俺たちユーザーがどう着こなすかが全てと言ってもいい。ジャックウルフスキンの評判とイメージ向上のためにもユーザー諸君にはクールに着こなして戴きたい。
防水透湿素材 Texapore(テキサポール)について
あらゆる気候/天候に対し高い快適性を提供するJack Wolfskinの独自の防水透湿素材。
https://www.jackwolfskin.jp/technology
TEXAPORE(テキサポール)は創業以来、自社開発により進化し続けているジャックウルフスキン独自のウェザープロテクションテクノロジーです。
全てのTEXAPORE素材は防水、防風、通気性の機能を有しています。 多種多様なアウトドア活動のニーズに応えるべく、2つのカテゴリと5つのパフォーマンスレベルから生地ラインナップが構成されています。
ジャックウルフスキンのウェアには、水滴は通らないけれど、水蒸気は通るような細かい穴の開いたコーティング Texapore(テキサポール)が使用されている。有名なゴア社のゴアテックスと理論上は全く同じ。
テキサポールには幾つか種類があってそれが以下。
テキサポールの種類 | 耐水圧(mm) | 透湿数(g/㎡・24hrs) |
---|---|---|
テキサポール | 10,000 | 6,000 |
テキサポールハイプルーフ | 30,000 | 6,000 |
テキサポールO2 | 20,000 | 15,000 |
テキサポールエコスフィア | 20,000 | 15,000 |
テキサポールO2+ハイプルーフ | 30,000 | 15,000 |
テキサポールインフィニティ | 20,000 | 35,000 |
テキサポールインフィニティハイプルーフ | 30,000 | 35,000 |
カタログスペック上だと俺の購入したジャケットに採用されているテキサポールエコスフィアは「耐水圧20,000mm・透湿度15,000g/㎡・24hrs」。対するゴアテックスは「耐水圧数45,000mm以上、透湿数13,500g/㎡・24hrs以上」と言われている。耐水圧こそ劣っているが、透湿性は上という訳だ。理論上は。
ゴアテックスと比べてどうなの?
という訳で一応十年ぐらい前に購入したゴアテックス採用ウェア「モンベルレインダンサー」と比較してみた。偏見を持たずにフラットに評価したつもりだが、完全に個人の体感でしかないし、そもそも構造が全然違う服と条件イコールじゃない。だから話半分で見て欲しい。
丁度風速10m時間10mmぐらいの雨に恵まれた?ので、不審極まりない深夜のランニングを決め込んだのだがどちらも完璧。耐水圧については洗車機の水を当てるという馬鹿をやってみたが、どちらもじんわりと染みてくる程度に留まる。日常でこのような水圧がかかることはないだろうし、十分なのではないだろうか。寧ろ本当に穴空いているのな!と感心した。取り敢えず防水性はどちらも文句なし。
一方で透湿性はカタログスペック上はテキサポールが上であること、厚みの違いやメッシュの有無があることを考慮しても、絶対ゴアテックスの方が上だと自信をもって発言できる。どちらもメッシュウエアという訳じゃないから、運動をすれば何やかんや汗が籠るんだけれど、その抜け方が明らかに違う。ゴアテックスはゆっくりと水分が抜けていく感があるが、テキサポールは完全に籠ってしっとりビニールガッパのそれっぽい感じになるんだ。
イメージとしては「ゴアテックス>>テキサポール>>>>自称透湿雨合羽」。悪くはないんだが、流石っすねゴアテックス!という感想に落ち着く。悪くはないんだがね。
[ ジャック ウルフスキン ] ジャケット JP CITY TREK JACKET
JP CITY TREK JACKET
パッカブルで多機能スタンドカラーシェルジャケット。 ビルトインフードと肘部の立体裁断でアクティブシーンにも対応するスグレモノ。 表地には伸縮性のある、リサイクル素材100%採用したオリジナル防水透湿素材、「テキサポール・エコスフィア」を使用。裏地にもリサイクル100%のメッシュを使用し、機能的かつサスティナブルなアイテムになっています。 フードを好まないユーザーにはスタンドカラーとして、ビジネスからカジュアル、アウトドアなどシーンを問わず活躍する1枚です。
そんなジャックウルフスキンで購入したのが「JP CITY TREK JACKET」。"JP"の名が前につく通りキャロウェイゴルフ日本法人による日本独自ラインナップの一つだ。
なおいつも写真はやる気がないのだが、衣類はシワ寄ったり増して面倒なので更に残念な感じになっているのは申し訳ない。ライティングなんてやってないからヤバいくらい色味が死んでいる。写真撮影嫌いなんよ。
色はこの茶(サンド)と黒(ブラック)の2色展開。どちらも汎用性が高くコーデに合わせやすいことは間違いないが、貴重なカラーを一つアウターで消化することを忘れてはいけない。俺はパンツやインナーで黒を使用したいのでサンドを選択した。自分の所有しているインナーやパンツカラーとよく相談して欲しい。
内側は蒸れ防止に繋がるメッシュ素材。透湿素材であってもなんやかんやで蒸れるので、機能的にはあった方がいい。だが俺は正直まとわりつく感じが好きじゃない。
なお公式紹介だと「ビジネスからカジュアル、アウトドアなどシーンを問わず」とあるが、ビジネス△、カジュアル◎、アウトドア〇、といった感じの印象。スーツカッチリ系のビジネスやガレ場を登るようなガチンコアウトドアには微妙。適した温度は15℃~5℃ぐらいまでかな?シーズン的には春秋。
サイズ感
サイズは173cm60kg後半胴長体型の俺だと「L」でベスト。店頭で幾つかのジャケットを試してみたけれど大体「L」でOKで、「M」だと肩が張って苦しい感じになった。参考までに記載しておくとユニクロだと大体「M」。
防水透湿素材テキサポールエコスフィア搭載
表面素材は先行して紹介した通り独自防水透湿素材「テキサポールエコスフィア」。エコ=劣化みたいな印象を抱いている人も少なくないと思うが、こいつは通常テキサポールの純粋な上位バージョンなので安心して欲しい。防水性はバッチリだし、透湿性も悪くはない。
雰囲気は合羽のような如何にも防水素材感があるものではないのが良いところ。またフッ素樹脂を使用したゴアテックスと違い、柔らかいポリエステル樹脂のメンブレンのため防水素材としては柔らかい素材感なのも嬉しい。
ファスナーは信頼のYKK防水
ファスナーは防水性の高い合わせ目がポリウレタンコートされているタイプ。ファスナーメーカーは信頼の最強メーカーYKK。開き心地は耐水じゃないタイプと比べるとシットリ重いがそこは、まぁ仕方がない。
前ファスナーはジッパーが2つ付いているダブルファスナー。下を若干開くことでシルエットがスマートに見え、屈んだ時快適になるので是非活用するべき。シングルタイプより若干開閉しにくいのだけれど、ビジュアル機能ともに優れているので、そう嫌わないであげて欲しい。
なおポケットやフード背中についているファスナーは防水じゃない。詰めが甘い。残念。
インナーポケットはボタン式。大きめサイズで嬉しい。
フードは収納可能
フードは収納が出来る。これをメリットと取るかデメリットと取るかは、好みによって分かれるところだろう。俺的には不使用時フードの形を整える必要がなくなるので歓迎したい。
フードにはアウトドアジャケットお馴染み背面タイプの絞り紐も付いている。片手で容易にしぼり調整出来るのだが、シティユースとしては背面に紐が見えるため微妙。
首周りにかけては防寒を兼ねて、短い毛状素材が用いられている。表面素材と違い防水加工はされていないため、水を長いこと浴びると染みてしまうのが難。名の通りアウトドアというより"シティ"ジャケットなのだ。
コンパクトに収納可能!だがしかし…
背中部分にはポケットがついている。サイクリングウェアではお馴染みの配置だが、手を伸ばし易く重心も中央で安定するため意外と使いやすい。
またこのポケットを中心にジャケットを丸めて収納することが可能だ。コンパクトサイズにまとめられるので、持ち歩きやすい。
…のだけれどチョイと収納無理くりというか、ファスナー両端には補強がついているとはいえ壊しそうで怖いくらいだ。多用するなら素直にスタッフバッグなど別途収納袋を用意したほうが良さ気。
そして何より……。
「stow away(ストウ アウェイ)」
直訳:句動 〔物を安全な場所に〕しまう 密航する
コレは何だい?ポーチに刻まれている文字は何なんだい?意味は分かるんだけれど、文字として刻む必要があったか?AWAYの形は何なんだよ…。
控えめに言ってダサい。「JP CITY TREK JACKET」は比較的洒落ている方だと思うが、普段からオシャレ着を作っていないところはこういった意味の分からんアクセントを入れてしてしまう節がある。
JACK WOLFSKINロゴと狼の足跡ロゴがあるのに何故それじゃなくて謎の英文字採用したんだよ。超減点。
悪くはない。でも特別良くもないそんな印象。
以上「ジャックウルフスキン」とその商品「JP CITY TREK JACKET」について語ってみた。
まぁオススメはしない。機能的には同値ぐらいでモンベルという超弩級にコスパのいいブランドがあるし、それを補うくらい素敵デザインですとも言えない。ブランド認知度や展開が今の感じなのも、あぁ成程ねとしか言いようがない。
ただ悪いところも特別ない。故に単純に「デザインが気に入った」「他の人とは違うブランドを選択したい」「ドイツが何となく好き」という場合にはあり。
「悪くはない」その一言に尽きる。
定価より30%ぐらい引かれていたらオススメ出来る。
機能重視ならやっぱコレ。モンベルストームクルーザージャケット。