機会があって「ティファール アクセススチーム プラス」なる商品を頂いた。有難いお話だ。
この商品はいわゆるハンガーにかけたままの衣類に対してアイロンが出来るという商品ハンディスチーマーあるいはハンディアイロンと呼ばれているモノ。アイロン台使うことなく衣類のシワをササっと取れるというお手軽アイテムなのだ。
ふむ?そんな都合の良い話があるだろうか?それで済むのであれば、通常のアイロン・アイロン台なんて邪魔くさいアイテムは、ガチのクリーニング屋にしか存在しなくなっていても可笑しくないはず。そこのところどうなのだろうか?ということで実際に使用してみた感想を述べる。
T-fal アクセススチーム について
- アクセススチーム プラス(DT8100J0)諸元
- サイズ:W 130×L 141×H 283mm
- 重量:1,220g(水タンクが空のとき、コード含まず)
- 注水量:185mL
- コードの長さ:約3m
- 定格消費電力:1,200W
- 電源:100V / 50 - 60Hz
- アタッチメント:ドアフック、アタッチメントブラシ、ヘッドカバー
- 定価:¥12,691
これが今回レビューするハンディスチーマー「ティファール アクセススチーム プラス」の諸元だ。何気に我が人生においてティファール製品はお初なんだけれど、残念ながら取っ手は取れない。
なお付属品として開き戸にハンガーをかけるためのドアフックが入っているが、俺の住んでいるクソ住宅はトイレ以外引き戸しかなく使用できないため当レビューではスルーする。
T-fal アクセススチーム のラインナップ
「アクセススチーム プラス」以外にもアクセススチームシリーズがあるのでかなりザックリと紹介しておく(2022.7現在)。
スチーム量 | 起動速度 | 重量 | 定価価格 | 特徴 | |
アクセススチーム フォース | 23g | 25秒 | 1,160g | ¥15,526 | 最高スチーム量 |
アクセススチーム ピュア | 22g | 25秒 | 1,100g | ¥15,180 | 付属アタッチメント最多 |
アクセススチーム プラス | 20g | 40秒 | 1,220g | ¥12,691 | 実売価格が安い |
アクセススチーム ホワイト(ブラック) | 18g | 40秒 | 1,220g | ¥10,978 | 実売価格が安い |
アクセススチーム ライト | 15g | 45秒 | 925g | ¥9,768 | 軽量コンパクト |
アクセススチーム ポケット | 13g | 15秒 | 800g | ¥9,790 | 折りたたみ高速起動 |
ハンディスチーマーにおける重要ポイントは、スチーム量である。スチーム量が多い方がシワが取りやすく、時間短縮に繋がると言われている業界なのだ。つまり持ち歩き用にコンパクトなモデルが欲しいとかでければ、「アクセススチーム フォース」一択なんだ。
そして悲しいことに当レビュー対象の「アクセススチーム プラス」は、最上位モデル「アクセススチームフォース」登場前のフラグシップモデルであるため、カタログスペック的には一番優れているところがない。
ただし一点だけ優れているところがあるでしょう?そう価格だ!安いんだ!更に実質型落ちのようなもの故に実売価格は6,000円近辺と結構お安くなっている。結構お買い得なんじゃないだろうか?
T-fal アクセススチーム プラス外観
サイズは大きく妙な存在感を放つ
細かく外観を見てみよう。
意外と大きいなってのが第一印象だ。高さ30cmもあるし変わった形しているからか、離れたところから眺めても妙に存在感があるので置き場所は少し考えたいところ。
外装は光沢感のある耐熱プラスチックをメインで、ホワイトとブルーカラーで彩られている。高級感は皆無。
ティファールに限らずハンディアイロンカテゴリーでは、女性だけではなく男性もターゲットとして見ているのだろう。やたらとガーリーで買いにくい配色がみられないのは我々メンズ的に嬉しいところだ。
普通のアイロンと基本的に構造は変わらない
セラミック素材の衣類接触面ヒーティングプレート。
ここまで見るとお気づきの方が多いと思うのだけれど、そうこれは一般的なアイロンと形状がちょっと違うだけで作りはほぼ同じ。アイロン台を使用しないで使えるように形状を変化させたアイロンなんだ。
無論使用中は熱くなるので、手で触れるのは厳禁。
小さな子供がいる場合注意が必要(特に男児)
スチーム噴射ボタンは少年心がどことなく疼くトリガータイプ。
トリガーノズルで子供がイタズラしやすいのもそうだが、アイロン台がなくヒーティングプレートがむき出しなので、幼いお子様のいるご家庭で購入する場合細心の注意を払って頂きたい。通常のアイロンより増して危なくなっている。
トリガー下部に付いているのは、トリガーを引いた状態で固定するロック。長時間使うときに楽。
操作はシンプル!ボタン3つだけ
- 中央:電源ボタン
- 右:ターボモード
- 左:デリケートモード
操作面はシンプル。薄い生地などに使う「デリケートモード(スチーム14g/分)」と、フルパワーの「ターボモード(スチーム20g/分)」しかない。なお現在「アクセススチームフォース」というスチーム量が3g増えた新型が販売されているけれど、そのモデルにはクソダサくカタカナでモード名が記載されている。3つしかないボタンに解説なんていらないと思うのだけれどどうだろう?
水タンクは少し問題があると思う
水タンク容量は「185mL」満水にすれば8分ぐらいもつ。
なお新品であっても工場でスチーム噴射試験を行っているため水タンク内に水が入っている。注意書きもあって「ご使用には全く問題ございません」とのことだ。ふむ!なら安心だね!って納得するのが一般的だし、俺も実際大して気にしていないんだけれどレビュー的には突っ込ませてもらおう。
ビジュアル的に中古っぽくて不快なのは勿論なんだけれど、それ以上に使用している水が精製水だろうが何だろうと気体に触れた時点で雑菌が少なからず繁殖するのだ。だから全く問題ございませんじゃねぇよ…。テストには別タンクを使用するなり、揮発させてさせてから販売するなりやりようはいくらでもあるはずだ。これはアカン。
コンセントは長めで、付属アタッチメントあり
コンセントの長さは「3m」と高い位置に持ち上げることを考慮してだと思われるが長め。
付属アタッチメントが2種類付属
ヘッド部分につけるアタッチメントがあって、毛足の長い素材に使用する「ブラシ」と高温に弱い生地に使用する「スチームボンネット」の二種類付属している。なくさないように注意したい。
アクセススチームを実際に使ってみる
タンクに給水する
アクセススチームを使うには、はじめに水をタンクに入れる必要があるのだが、このタンクは給水口が小さい故に水が零れやすいのと、使用後蒸発しにくくいつまでも水が残りやすいのが気になる。
俺の場合こぼれるの上等で勢いよくいれて、タオルでふき取るという形で使用している。タンクの作りはあまり褒められたものではない。微妙。
当然だけれど「水の量=手にかかる重量」であるため使用時間に応じて少なめに入れることをオススメする。
中央の電源ボタンを入れる
中央の電源ボタンを押して起動。起動時は「デリケートモード」になるけれど、俺は「ターボモード」しか使わないので右のターボボタンを選択する。起動から使えるようになるまでは、40秒ほど。
服を引っ張りながら使用する
起動したらトリガーを引きながらハンガーにかけた衣類に対してアイロンがけをしていく。
対象はユニクロUの「クルーネックT(長袖)」安いからラフに使えるところと、あまり使えない胸ポケット含め良い意味で崩れた雰囲気が結構好きだ。ただし洗濯後シワだらけになるのが欠点。
空いた手で引っ張りながらかけるのが基本なんだけれど、スチームが直にかかると熱いので「ミトン」などを用意しておきたい。俺はそんなものないので家にあった作業用革手袋を代用した。
取扱説明書には連続使用時間約18分とあるが、電源はコンセント供給であるため保水をすればそれ以上使える。ただ本体の熱持ちが心配なので20分ぐらいでやめるべきだろう。
そもそも水含めると3kg近いゴツイ物体を20分近く振り回し続けるのは男の俺でもダルい。
7分ほどかけてやるとこんなにキレイになった。
……とはならない。鋭いお方は気が付いただろうけれど「7分」かかってんだ。そうこの商品は「時間をかければ、どこまでも綺麗に出来る」んだけれど、あんまり時間かけていると「アイロン台用意して普通のアイロンを準備したほうが早く楽に仕上がる」のだ。ここが最大の問題点。
ハンディアイロンを便利に使うには
ハンディアイロンは確かに起動速度は速いし、ハンガーにかけた状態でアイロンがけ出来るという手軽さはある。ただシワをとる能力は通常のアイロンの方が上なのだ。正しく童話の「ウサギと亀」だ。こいつはウサギなんだ。最終的に亀に敗れるのだ。
この機器が通常のアイロンがけよりアドバンテージがあるのは一点「短時間でアイロンがけを開始できること」のみ。
つまりこの機器を有効に活用するには…
- すぐに使用出来るような環境に設置する
- 5分以内で妥協する(とても重要)
短時間勝負だ。多少シワがあっても妥協しないとこの機器のアドバンテージは死ぬ。アイロン台を広げなくてもいい点を活かしてすぐに起動できる環境も整えておきたい。
それで3~5分で仕上げた状態ってどんなもんなのかというと…
どうしてもフチの方が雑になってしまうのだが、悪くはないでしょう?
「マジかよ!そんなシワくちゃ着ていくのか?」という水準は脱している。ネガティブに捉えるとアイロンがけをしている衣類感は薄い。そんな感じ。
あと当然だけれど出来栄えは素材にもよる。元々シワの付きにくい加工が施しているモノへの仕上げやシワの取りやすい「ウール・ポリエステル」などにはかなり効果的だし、逆にシワの取れにくい素材である「綿・麻・レーヨン」辺りは微妙。
ハンディアイロンは便利ではある
以前「シューズクリーナーのレビュー」でも述べたけれど、昨今ビジネスやファッションの場で大切と言われている「清潔感」っていうのは、風呂入っているどうのこうのじゃなくて「清潔な雰囲気」があるかどうかだ。衣類で清潔感を手に入れる重要項目は、「汚れ」「匂い」「サイズ感」「ヨレ」そして「シワ」だ。
アイロンがけは超重要なんだ。素早く起動して使えるハンディアイロンはその助けになるかもしれない。ただし仕上がりは通常のアイロンより劣るので、それで自分自身が納得出来るかだ。
俺は休日の出かける前にササっと3分程度使用している。でも自分で購入してまで欲しいアイテムかというと微妙だ。懐に余裕がある時(滅多にない)じゃないと買わないなぁ…というのが正直なところ。ハンディアイロンは有効活用出来る層が、かなり狭い商品だと感じた。自分のライフスタイルや所有している衣類に合っているかどうかよく検討して購入してもらいたい。
当レビュー商品。定価よりだいぶお安く買えるのでシリーズの中で購入するならこれじゃないだろうか?
軽く起動速度の早くなった新型「アクセススチーム フォース」間違いなく性能は上がっているけれど、値段差をどう捉えるかである。
競合他社と言えばやはりパナソニック。スチーム量は低いけれど、見た目はコチラの方が好き。